虐待:老人施設「奥湯村園」職員、入所の15人を
「氷山の一角の可能性」
甲府市羽黒町にある特別養護老人ホーム「奥湯村園」(杉山弘施設長)の入所者15人が06年秋~07年初頭、職員から虐待の被害に遭っていたことが13日、県がまとめた06年度の高齢者虐待状況で分かった。自宅で介護を受ける高齢者も、計96人が家族らに虐待を受けていた。県長寿社会課は「調査結果は氷山の一角の可能性がある」として、虐待を発見した場合は市町村に通報するよう継続して呼び掛けていく。
06年4月に施行された高齢者虐待防止法が、虐待を見つけた者に対して市町村への通報などを行うよう求めたことに伴い、県が初めて実態調査を行った。
奥湯村園では、40代の男性職員(既に退職)が入所者計15人に対し、▽スプーンを口に無理やり入れて薬を飲ませたり、トイレに行かせようと小突く身体的虐待▽みだらな言葉を言わせる性的虐待▽暴言を浴びせる心理的虐待――などを行っていた。事実が判明しにくいよう、夜勤の際に虐待する悪質な事案で、県に匿名の電話が寄せられて発覚した。
自宅で介護を受けながら虐待された高齢者96人では、7割近い67人が介護保険の認定を受けていた。年代別では80代が42人(43%)、70代が31人(32%)で、体力が落ちた高齢者が被害に遭うケースが目立った。虐待した122人のうち夫や妻、子、孫、兄弟姉妹などの家族が99人(81%)を占めた。虐待判明後の対応では、介護保険のサービスの利用を増やすケースが多く、県は「介護疲れを理由とした家族による虐待が多いのでは」とみている。
06年度に計12件の虐待情報が寄せられた甲府市介護保険課によると、自宅での虐待は暴力を直接加えるケースより、1日に1食しか与えなかったり、おむつを1日1回しか交換しないなど介護放棄が目立つ。高齢者に支給される年金を家族が自分たちの生活費に充てるため、介護費用が確保できないことが背景にある場合が多いという。【宇都宮裕一】
毎日新聞
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