高齢者の孤独死41人 06年、田辺署管内
田辺署管内で、65歳以上の高齢者の孤独死が昨年1年間で41人に上っていたことが分かった。特に合併で市域が広くなった田辺市では、集落が点在する山間部で高齢者の安否確認などが課題になっている。
田辺市、上富田町、みなべ町を管轄する同署によると、県全体では昨年1年間の高齢者の孤独死が210人だったが、田辺署管内はうち5分の1を占める。中には死後10日ほど経過したケースもあり、デイケアサービスの職員や民生委員が訪問し、発見することが多いという。同署は「高齢化率が高まるにつれ、孤独死の割合は増える傾向にある」と話す。
実情
田辺市の旧大塔村地域は65歳以上の高齢者が半数以上の「限界集落」が12カ所あり、そのうち100%の集落が5カ所と深刻。地域グループ、大塔女性会の副会長で、一番奥の集落の木守に住む石谷智津さん(44)は、介護タクシーの運転手として実情を知る一人だ。
石谷さんによると、昨年末には、独り暮らしの70代の男性が自宅のこたつで容体が悪化しているのを、近所の人が発見したが、搬送後、病院で亡くなったという。自分で買い物に出て品物を選びたいと、介護認定を受けて、介護タクシーを利用し始めるところだった。
石谷さんら女性会のメンバーは、2月末にあった「一日市長室」で真砂充敏市長に「身近に品物が多い商店はないし、車も運転できない。高齢者を見回る立場の民生委員も高齢化し、若い人にはなり手もない」と実情を訴えた。
旧大塔地域で独り暮らしする女性(77)は「カーテンの開け閉めで周囲に自分の安否をアピールしている」というが「自分で生きる術を考えてと言われてもできない」と不安を訴える。
昨年末には本紙の新聞配達員が、市中心部で高齢者の孤独死を発見するケースが2件あった。
女性配達員(51)は、古尾地区の高齢男性宅で、3日分の新聞がたまっているのを不審に思い、隣に住む女性と窓を開けたところ、部屋の中にじっと動かない高齢者の姿を見つけた。
女性配達員は「独り暮らしの高齢者宅で、新聞がたまっていると気にとめるが、新聞をとっていないところではどうなるのだろう」と心配する。
市の対応
市やすらぎ対策課によると、2006年3月末現在、65歳以上の高齢者人口は2万1292人(高齢者比率は25%)で、独り暮らし高齢者は4734人。そのうち寝たきりの高齢者は154人、認知症の高齢者は271人いる。
市は独り暮らし高齢者を対象に、急病や災害時などの緊急時に、ボタンを押すと消防署につながる緊急通報装置を815台(うち4行政局管内は312台)設置している。06年度はこの装置による救急出動や相談が70件あったという。
このほか高齢者の安否確認の手段について、市は配食サービスの際の訪問や、市内12カ所の在宅介護支援センターによる実態把握調査などを挙げている。しかし、配食サービスの対象地域は旧田辺と旧本宮地域で登録者は112人だけ。介護支援センターの実態把握調査では、今年1月時点で7936人しか把握していないという。
市議会3月定例会の一般質問では、安否確認の手段としてテレビ電話を導入するという提案もあったが、市は「介護や健康相談の利用も考えられる半面、経費が高額で費用対効果の検証も必要」と答弁。山間部の高齢者対策について、市山村林業振興課は「まずはより詳しく実態把握に取り組みたい」と話している。
紀伊民報
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