配食サービス浸透 お年寄りに人気

田辺市周辺で、栄養バランスに配慮した配食サービスが、お年寄りや食事制限が必要な人、介護をしている家族らに人気を呼んでいる。いままでは福祉事業所中心のサービスだったが、ここ数年は一般の仕出し弁当店でも工夫し、一人一人の健康状態や好みに合わせたメニュー作りを始めている。市やすらぎ対策課は「分野の違う業者が高齢者福祉へ参入することは歓迎。利用者の選択の幅が広がる」と話している。


田辺市元町の訪問介護事業所「ホームヘルパーU」は、2000年の設立当初から配食サービスの部門を設けている。栄養士の監修に基づいて、糖尿病や腎臓病に配慮したもの、おかゆや材料を刻んでいるものなど各種のメニューを作っている。当初、注文は1日に十数食だったが、いまでは田辺市内のお年寄りや福祉施設から毎日120~150食の利用があるという。1食当たり520円と620円。


同市天神崎の宅配弁当店「一休弁当センター」は利用客からの要望を受け、5、6年前からお年寄り向けの弁当を作っている。


味付けは薄めで揚げ物は少なく、軟らかいおかずが中心の献立になっている。1食当たり525円と市社福協のサービスと同じくらいの料金で、おかずだけでも買えること、1食単位で配達していることから、利用は1日に70~80食に上る。正月を除き年中無休なので、デイサービスや市の配食サービスが休みの日だけ利用する人もいるという。


厳密な栄養管理が必要な人に合わせた食事を提供するところもある。


上富田町の管理栄養士、中瀬さち代さん(55)は2005年12月に個人で配食サービス「はっぴ~は~と」を始めた。管理栄養士の資格を生かし、糖尿病や高血圧などの病気を持つ利用者一人一人に合わせた食事を作っている。口コミで広まり、同町や田辺市内で、1日平均30食の利用がある。料金は個人の健康管理のデータが付いて1食当たり735円。


田辺市上の山に住む女性(76)は糖尿病で、昨年5月から毎日の昼食と夕食にサービスを利用している。


介護をしている夫(78)は「お弁当は妻の命の糧」と話す。栄養管理が難しいため、サービスを受けることで大きく負担が軽減した。専門家のアドバイスを受けられることが何より安心できるといい「食事だけでなく、日々の生活についても相談できるので医者以上に頼れる部分がある」と話している。


公的サービスと料金差なく


田辺市社会福祉協議会は、介護保険サービスの一つとして一人暮らしで食事の支度が困難なお年寄りに対して、有料の配食サービスをしている。昨年4月から食材費に加えて調理費が負担となり1食500円と、民間業者の料金と大差なくなった。


市社福協のサービスは安否確認の意味合いも兼ねており、原則家族と同居の人には提供していないが、ここ数年で配食サービスを利用したいとの問い合わせが増えている。市の配食サービスの対象となる要件に当てはまらない人には、民間の業者があることを伝えているという。


田辺市やすらぎ対策課によると2006年3月末現在、市内の一人暮らしの高齢者数は3419人。「利用条件の付いている市のサービスと、山間部など地理的に配達範囲の限られる民間業者とが補い合い、サービスを充実させていきたい」と話している。


紀伊民報
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