福祉有償運送始める

田辺市本宮町で10月から、外出が困難な要介護認定者や身体障害者を対象にした低料金の輸送サービスが始まる。県内では、紀美野町やすさみ町に次いで3番目という。運営するのは地元のNPO法人「本宮あすなろ会」(九鬼聖城理事長)で、過疎化が進む中、交通手段に乏しい地域での活躍が期待されている。


2004年の国交省の規制緩和で、自治体などが設置する運営協議会が必要と認め、運輸支局が許可すれば、自家用車での福祉有償運送が認められている。


市政策調整課によると、本宮町地域で登録されているタクシーは2台。ほとんど観光客が利用している。路線バスや住民バスの便数、路線も限られている。社会福祉協議会が、介護保険のケアプランに基づいて有料で移送する「介護タクシー」と、市から委託された診療所への無料送迎をするサービス(月2回限定)をしているが、無料送迎については運送範囲が町内に限られている。


このため、同NPO法人の要望で、本宮町自治会連絡協議会やタクシー事業者、県、市など9人の委員でつくる「田辺市福祉有償運送運営協議会」が発足し、福祉有償運送の実施を決めた。近畿運輸局和歌山運輸支局に許可申請する。


10月1日から同法人の軽自動車1台で始める予定。対象となるのは、本宮町地域に住むか、以前住んでいて今は地域外の老人ホームなどに入居している人が基本。要介護認定者か要支援認定者(要介護2以上の認定を受けた人で、介護タクシーの利用可能な人は除く)▽身体、知的、精神障害者▽単独で公共交通機関の利用が難しい人▽これらの人を介助するのに同行する人―と定めている。


利用には、あらかじめ会員登録してもらい、事前に日時を予約してもらう。約60人の登録を見込んでいる。


運送地域は田辺市とその周辺の白浜町、上富田町、新宮市、那智勝浦町、太地町、串本町、古座川町、三重県御浜町の2市7町で、乗車か降車地が本宮町の場合に限る。


運賃は本宮町地域内は5分以内が250円で、5分以上は一律500円。町外は片道で、田辺市、新宮市、白浜町、上富田町が3000円。那智勝浦町、太地町、御浜町が4000円、串本町、古座川町が5000円。待機中は最初の1時間が500円で、以後10分あたり50円としている。


本宮町地域の高齢化率は、3月末現在(住民基本台帳)で40・9%。中辺路36・2%、龍神38・0%、大塔31・9%、田辺22・6%と比べ、最も高い数字になっている。


市政策調整課は「本宮地域は高齢化率が高い、総合病院への距離が遠い、免許の取得率が低いといった地域性があり、この種のサービスが必要だ」と話している。


紀伊民報