介護予防事業、広域で課題多く 市街は閉じこもり増加 山間は継続が困難

介護を受けなくて済むお年寄りを増やそうと、介護保険法による「介護予防事業」が始まって3カ月余り。田辺市でも手探り状態で取り組んでいるが、市街地では家に閉じこもる高齢者が増え、山間部では農繁期にサービスを受ける人が少なく、地域の事情それぞれに課題が出てきている。


市は4月、やすらぎ対策課内の高齢福祉係に、介護予防事業を専門とする職員5人を配置した。70代、80代の要介護度の低い人を対象に、健康づくりの教室を開いている。


内容は口の筋肉を鍛える体操や筋力トレーニング、栄養バランスの良い食事方法などで、市が歯科衛生士や理学療法士らの講師を派遣している。6月は「歯の健康月間」として、口腔(こうくう)ケアに重点を置いた教室を9回開いた。


昨年5月に合併し、広大な面積になったことで、今後の介護予防事業への課題は地域によってさまざまだ。


市内で一人暮らしをしている65歳以上の高齢者は約3700人。長年、地域の高齢者と密接にかかわってきた市在宅介護支援センター職員らによると、市街地では核家族化が進んでおり、子どもが郊外へ転出した後、配偶者を失って一人暮らしになる高齢者が増えているという。


市街地の高齢者は、無職が多く、隣近所との交流も少ないまま、孤独に暮らす傾向がある。特に高齢の独身男性は、他者の受け入れをかたくなに拒み、家事もせずに閉じこもるケースが多い。


市在宅介護支援センター・竹村医院の玉田陽子さん(49)は「地域全体のつながりが薄くなってきていることが要因の一つでは」と近所づきあいの減少を指摘する。


一方、山間部では継続して参加することが難しいという。交通手段が乏しいため、福祉施設などの教室に通いにくく、農繁期になると極端に参加率が落ちる。


同センター医師会の武田恵子さん(55)は「教室に1回きりしか参加できなければ、介護を予防する効果は少ない」と指摘。高齢者が自主的に、教室で学んだことを日常生活に取り入れていくのは難しく、介護予防の取り組みを続けるためには、行政などの支援が必要という。


高齢福祉係の担当者は「合併前は旧市町村が地域単位で予防事業を進めてきた経緯がある。今後、市一律でなく、行政局単位で地域の特色を生かしながら、介護予防の考え方を広めていきたい」と話す。


紀伊民報
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