負債12億“粉飾決算”

業務停止命令の介護施設、売却不動産を資産計上


東京都練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」が都から介護保険法に基づく業務停止命令を受けた問題で、施設を運営する医療法人「杏稜(きょうりょう)会」が債務超過に陥ったうえ、健全経営を装うため、人手に渡っていた施設の建物と土地を自己資産として計上する“粉飾決算”をしていたことが14日、都などの調べでわかった。


都は、業務停止期間は来月1日から2か月間としており、この間に経営改善の動きが見られない場合、杏稜会の医療法人としての認可取り消しを検討する。


都福祉保健局は14日午後に都庁で会見、杏稜会の債務残高は独立行政法人「福祉医療機構」などからの借入金、取引先への未払い金など計約12億3000万円に上ることを明らかにした。また、「すずしろの郷」の建物や土地は2005年3月に理事同士の紛争の中で第三者に売却され、今年3月には競売開始も決定されていることから、「実質的な債務超過」と認定。杏稜会では給与や給食業者への支払いが遅れるほど、資金繰りに窮していた。


ところが、杏稜会では「自己資本は20%以上必要」などとする医療法の規定をクリアするため、05年度決算で売却済みの土地建物を資産計上する決算書を作成、都に提出していた。決算書には、ほかにも所有が証明できない資金などが含まれていたほか、06年3月期の決算書は現在も提出されていないという。


一方、業務停止命令の根拠になった施設管理者の不在は02年10月ごろから続いていたほか、都や練馬区では、土地建物の売却についても、所有権移転の約2か月後に確認していた。


しかし、都福祉保健局が介護保険法などに基づく改善命令を出したのは今年8月31日。同局の担当部長は、定期的に改善指導をしてきたことを強調したうえで、「経営は混乱していたが、介護などの業務には問題なかった」と説明した。


「すずしろの郷」の建設時には都が4億600万円、国などが1億3280万円の補助金を支出している。都は、全額の返還を求める方針だが、債務残高が大きいため、ほとんど返還されないおそれが出ている。


読売新聞