介護施設に業務停止命令…東京都
安定運営に問題 改正介護保険法初適用
医療法人「杏稜(きょうりょう)会」(東京都練馬区)が運営する介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」(同)が施設管理者を決めないで運営を続けているのは介護保険法に違反しているとして、東京都は14日、同施設に業務停止命令を出した。
再三の行政指導にもかかわらず、施設側から有効な解決策が示されないため、安定的な経営が望めないと判断した。同施設に入居している高齢者72人は、退去を迫られることになる。同法に基づく介護老人保健施設への業務停止命令は全国で初めて。
入居の高齢者72人退去へ
都福祉保健局は同日午前、施設の入居者やその家族を集め、説明会を開いた。入居者の中には認知症の人もいるため、都は地元の練馬区とも協力して、できるだけ早く受け入れ先の施設を探す方針だ。
法人登記や同区の調査によると、杏稜会は1998年2月に設立され、非常勤も含め約70人の職員が勤務している。設立直後から経営陣の内紛が続き、理事が地位確認の訴訟を起こしたり、理事長が頻繁に交代したりする事態になっている。
登記上は2002年11月から約4年間で、4人が延べ47回も理事長に就任。昨年9月から東京地裁に選任された弁護士が、理事長職務代行に就いている。
「すずしろの郷」の建物や土地も不動産業者に売却されて名義が書き換えられているうえ、開業資金を融資した独立行政法人「福祉医療機構」からその土地・建物の競売を申し立てられている。月額2000万円以上ある介護報酬についても、債権譲渡を受けた業者から今年7月以降の分を仮差し押さえされており、職員への給料遅配も発生しているという。
このため、施設では2000年ごろから、医師や看護師が次々と退職。リハビリテーションを担当する理学療法士がいない時期もあり、区などから再三、指導を受けていた。都は今年8月、区とともに立ち入り検査に入り、合同で改善を指導し、その後も介護保険法に基づく勧告や措置命令などで段階的に解決を迫っていた。
介護老人保健施設への業務停止命令は、介護保険法の改正で今年4月に盛り込まれた。命令を受けた施設は指定の期限までに、入居者を他の施設に移さなければならない。都では今後、2か月程度の間に同施設の改善状況を見極め、杏稜会に施設の設置許可の停止や取り消しを出すことも検討する。
読売新聞
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