多摩地区高齢化(2)NPOと連携目指す
人的資源活用 役割を分担へ
財政力指数が1・2と、多摩地区でトップクラスの財政自立度を誇る多摩市。平均的な行政サービスは自前収入で賄え、地方交付税は20年近く交付されていない。
この豊かさを支えるのが、サラリーマン層だ。同市の2003年度決算で個人市民税は市税収入の36%を占め、その70%が給料からの“天引き”で納められている。しかし、退職者が増えて高齢化するにつれ、税収は急激にしぼみ、高齢者サービスの需要が膨らんで、高齢化が市財政の圧迫要因になってくる。
同市は減収と高齢化の同時進行を強く意識し、昨年2月に「市行財政再構築プラン」を策定し、市組織体制の効率化や事業の根本的な見直しを急ピッチで進めている。市民団体への既存の補助金も、既得権化を避けるため、市民が提案、実施する活動の“立ち上げ支援”に転換し始めた。
これらの改革について、渡辺幸子市長は、「小さな市役所を目指しながら、高齢化が急激に進んでも、豊かなサービスが行き届く仕組みづくりを行っている」と強調する。
再構築プランで目指すのは、市役所とNPOなどの市民団体、事業者が行政サービスを役割分担して、地域を支え合う「住民自治」だ。市役所が抱える「公・共」の役割は、市民団体や事業者が「共」の部分を担えば、小さくなる。
多摩市内では現在、43団体が行政サービスを補完するため市に登録して、「健康福祉」「社会教育」「街づくり」などの分野で活動している。その活発さは「西の神戸市、東の多摩市」とも言われ、市職員に「高齢化社会は暗くはない」と言わしめる。
多摩地区全体でも、人口1万人当たりのNPO法人数は1・9と道府県と比べても全国最多で、多摩市以外の各市でもNPO法人などとの協働・連携を目指している。
東京市町村自治調査会の「住民自治の拡充に向けた調査研究」(中間報告)によると、多摩地区30市町村の9割が「NPOとの協働を通じて、行政の新たなあり方を構築していきたい」と考え、NPO法人の9割も「条件次第で、協働・連携していきたい」としている。
都の「退職後の団塊の世代の活用についての調査報告書」では、今後、地域に生活の根を下ろす50歳代の4割はボランティアやNPOなどへの参加に関心を持っており、しかも多摩地区は時代に敏感な大企業の社員と管理職、役員が4割――という結果も出ている。
だが、行政関係者からは「要求と不満を言うだけのNPOもある」という声が漏れてくる。一方、福祉分野のNPO法人は「行政の事業委託を受けなければ運営は厳しいが、受託するだけではものが言いづらくなり、市民団体の個性が生かせない」と必ずしもかみ合っているわけではない。
潜在する豊かな人的資源を生かして、高齢化に伴う市財政の弱体化をいかにカバーできるのか。市民と行政が一体となった「地域力」が問われてくる。
〔財政力指数〕標準的な行政サービスに必要な財政需要額(経費)に対し、標準的な税収額など(収入)がどれだけあるかを示し、「収入/経費」で算出される。1・0以上であれば、経費よりも収入が多いため、地方交付税は交付されない。自治体の予・決算の実績額と直接関係はない。
読売新聞
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