多摩地区高齢化(5)企業、住民と連携を
広域行政も有効 区部と魅力競う
前例のないスピードで高齢化が進む多摩地区。自治体間競争を生き抜くため、各自治体はどのようにすればいいのか。研究者と住民で作る「多摩ニュータウン学会」会長で、中央大学総合政策学部の細野助博教授に聞いた。
――高齢化により、様々な問題が出ると言われるが
「多摩都市部の居住者は団塊の世代が多いので、高齢化のスピードはもちろん速い。しかし、逆に高齢になった人が多摩地区にとどまるかというと疑問。今の70歳は元気で活動的。興味を引くイベントやサークルがあるうえ、医療施設が充実していて区部に移っていくことも考えないといけない。区部では、北部から開発が進む南部に人口が移りつつあり、北部では安い住宅が生まれてきている。実際、高齢者が多摩から便利な区部に移る現象がすでに起きている」
――地域の競争に負けると……
「若い人がおらず、お年寄りばかりになれば、地域の活力がなくなるから結局、お年寄りもいなくなる。逆に魅力のある地域には、人、金、物、情報が集まってくる。高齢者問題だけでなく、総合的に魅力ある地域作りをするべきだ」
――どのような地域づくりをすればいいのか
「多摩地区は区部に次ぐ潜在能力があると思う。自然が豊かで、高齢者にも優秀な人材が多い。また、工業出荷額は区部に引けをとっていない。大学のキャンパスも70を超す。自治体、企業、大学、NPO法人などがうまく連携できれば、周辺より魅力ある地域を作ることは十分可能だ」
「高齢者が楽しく過ごすには、生きがいを感じる場を作らなければいけない。NPOなど住民の力を十分に生かすのが有効だ。また、若い層を呼び込むために事務所や会社などを立ち上げやすい仕組みを作ったり、女性が働きやすくするために保育所の整備や子育てなどで離職した女性が職場復帰するための教育にも力を入れたりすべきだ」
「高齢化で税収が減るうえ、国の交付金も絞られてくるので、自治体独力では限界がある。企業、住民などとも連携していかなければならない。また、自治体行政の広域化も有効だろう。今のところ、広域化がうまくいっているのはゴミ問題ぐらい。例えば、介護保険事業を多摩地区で一つにしてもいいのでは」
――多くの自治体はすでにNPOとの協力をしているが
「中身の問題だ。例えば、自治体はNPOとの連携をしているというが、NPOを下請けに使っているだけで、NPOの意欲を生かしていない。自治体の行っている事業を手伝わすというやりかたをやめて、NPOならではの発想を活用すべきだ」
「NPOへの補助が住民サービスになっている側面があり、補助が総花的だ。NPOの力を生かすには、評価をしっかりして、連携してみて結果が悪い団体には補助を打ち切らなければいけない。いずれにしろ、これまでは国の地域作りに乗っかっていればよかったが、これからは地域の発想、行動力が問われる」
読売新聞
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