多摩地区高齢化(3)介護保険予算ピンチ

利用予想超え 都から借金も


国立市は新年度の介護保険予算で、都の財政安定化基金から約1億2600万円を借り入れた。同市の永見理夫福祉部長は、「利用の伸びが予想を超え、借金をしないと予算が組めなかった」と打ち明ける。


介護保険の利用料は本人が1割を負担。9割の約半分を40歳以上が支払う保険料で賄い、残りは国、都、市町村が負担する。


同市は2003年度に保険料を18・5%アップし、多摩の26市では4番目に高い3584円にした。さらに、同年度から3年間、同市の介護給付費準備基金から4000万円を取り崩して不足分を賄う予定だった。しかし、実際には2003、2004年度の2年間で基金の全額6000万円を使い果たしてしまった。


見込み違いだったのは、在宅の介護認定者の活発な利用だ。例えば、2004年度の訪問介護サービスは計8万188回の利用を見込んでいたが、実際には9か月だけで9万3673回に上った。


介護認定を受けた人数はほぼ計画通りだったが、在宅の認定者の85%が介護サービスを利用、そして、利用者は自分の要介護度に応じて利用できる限度額の約58%を活用していた。いずれの数字も全国平均を1割近く上回り、永見部長は「都市部ゆえの地域介護力の低さが原因」と分析する。


地域介護力の低さが介護保険予算を圧迫するのは、多摩都市部に共通する課題だ。


過疎地など、すでに高齢化した地域は家族、親族など地域が高齢者の世話をする「地域介護力」が大きいため、利用率が伸びにくい側面もあった。これに対し、他地域から移り住んできた人が多い多摩都市部は「近所の人の世話になるより、業者のサービスを受ける方がいいという人が多い」(多摩東部の担当者)というのだ。


多摩都市部は、介護力の向上を狙い、地域のコミュニティー作りを進めている。稲城市は昨年11月、同市長峰地区に多摩ニュータウンでは初の消防団を本格稼働させたが、これも地域コミュニティーの形成という目的が大きい。


地域介護力の低さに加えて、70年代に開発された多摩ニュータウンなどはエレベーターがない建物が多く、自宅から外出するのがおっくうになることで心身の機能低下が心配される。また、地方から年老いた親を呼び寄せる「呼び寄せ老人」も「国のモデルの3倍を見ている」(稲城市)など、都市部ゆえに介護を必要とする人が増える要因は多い。


介護保険法改正で給付費の伸びを抑えるため、筋力トレーニングなど介護予防が介護保険の対象になった。しかし、担当者からは、「運動をしていないお年寄りが、どれだけ筋トレをしたいと希望するのか」「筋トレが望めない要介護度の高い人が給付費の高さの原因。給付額が劇的に変わることはない」と効果を疑問視する声が上がる。


国立市の永見部長は「介護保険は、自治体にとって重い十字架」と見る。多摩都市部は今後、前例がない都市型の高齢化社会に挑むことになる。


読売新聞
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