多摩地区高齢化(1)多摩市、世界最速ペース
「元気老人」多いけれど…
5月に100歳になる国立市のAさんは、16年前に夫を亡くして独り暮らし。最近は服のボタンをかけるのも一苦労だが、「人に頼ってはだめ」と、掃除、洗濯は自分でこなす。リュックを背負ってバスに乗り、多摩市まで買い物に出かける。また、謡曲を趣味とし、自宅に招く仲間は多い。
Aさんに週に2回の食事を届けるNPO法人「すずらん」の高橋恵美子理事長は、「高齢者のお手本」と感心しきりだ。
Aさんのように、都内には元気な高齢者が多い。都によると、65歳時から自立生活ができる期間を示す「健康寿命」は全国で10位前後。8割の高齢者は介護保険に依存しない「元気老人」という。また、国立市の要介護認定率は昨年11月現在、13・6%で、全国よりも2ポイント低く、多摩都市部も同様の傾向にある。「人生60年」時代の固定観念で、高齢者をひとくくりにはできなくなった。
高齢化率(人口に占める65歳以上の高齢者の割合)が低いのも、多摩都市部の特徴だ。昨年1月現在、全国の19・2%に対し、都は17・5%。多摩26市のうち19市は、都をも下回る。「オールドタウン」と揶揄(やゆ)されるニュータウン地域でも、稲城市は12・9%と多摩都市部で最も低く、多摩市も14・2%と下から3番目。八王子市は15・9%で、26市の中位に位置する町田市の16・4%よりも低い。
だが、高齢化の進み具合については、一般的に「ヨーロッパは100年、アメリカは50年、日本は20年」と言われ、間もなく現状が一変する。さらに、多摩市の高齢福祉担当者は、「多摩市は10年。世界最速で高齢化が進む」と言い切る。市推計では、2015年に市内の高齢化率は28・2%へと倍増し、全国を追い抜く。ニュータウンに多い団塊世代が高齢者入りするためで、各市とも高齢化は避けられない。
高齢化を加速させる現在50歳代の生き方は、実は、国立市のAさんと似ている。都が八王子市など都内5区市で実施し、昨年に公表した「退職後の団塊の世代の活用についての調査報告書」では、団塊世代について、「積極的で行動範囲が広く、没頭できる趣味を持ち、仕事以外の友人、知人がいる。健康意識も強い」としている。
ただ、独り暮らしになった場合など、高齢者であれば、不安は付きまとう。
高齢者の多様化と、急速な高齢化の訪れ。そして超高齢世代への対応。要介護状態にない高齢者には、「見守り」「健康づくり」「生きがいづくり」「仕事づくり」が必要――と、多くの行政関係者は認識する。しかし、行政だけで対応するには限界がある。都市部の高齢化社会を、行政、市民を含めた地域全体で、どうやって支え合うのか。それへの備えもスピードアップが求められている。
読売新聞
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