ALS:妻を20年間支える松浦さん「介護はやりがいある仕事」 出雲で講演
まばたきで“会話”二人で短歌を楽しむ--「もし自分が…」講演
難病のALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)で闘病生活を送る妻を20年間支えている松浦和敏さん(75)が26日、出雲市内で講演した。松浦さんは、約120人を前に妻弥生さん(68)の介護を「自分の一番の仕事。今もやりがいがあると思っている」と語り、まばたきで意思疎通を図りながら、夫婦で短歌を楽しむ生活を紹介した。【御園生枝里】
ALSは、全身の筋力が低下する原因不明で治療法のない難病。講演では、傍らに立った参加者が腕を13回倒し、指を折って40回数えると、和敏さんが「妻が(発症したころに)転倒した回数と呼吸のために1日に吸引する回数」と弥生さんの症状を説明。参加者から驚きの声が上がった。
弥生さんは4人の子どもを育てる傍らで農協に24年間勤めた。ところが、転んだり、坂道を歩くのがつらくなったため、88年3月に診察を受けたところALSと診断された。和敏さんは「明るく手を振って『ただいま』と言う姿を今も覚えている」といい、診断後は「救われたのは妻が早く立ち直ったこと」と振り返った。
自力呼吸が難しくなった弥生さんは人工呼吸器をつけている。話せないため、まばたきで意思疎通する。読み取る人が「あ、か、さ…」と読んでいくと弥生さんがまばたき。次に「あ、い、う…」と読んでまばたきして1文字を伝える。週に2回、島根大の学生ボランティアがまばたきを読み取り、日記や手紙を書いている。
「短い言葉で伝えよう」と弥生さんが始めた短歌を、夫婦そろって楽しんでいる。弥生さんの作品「まばたきに 文字盤拾う 乙女らを 我が子にしたき このひととき」や、和敏さんの作品「紅葉摘み 胸に挿したる 散歩道 妻の笑顔に トンボのとまる」を紹介した。
和敏さんは「人ごとだと思わないで『もし自分が』と思うきっかけになれば。私の情報発信をいい受信機で増幅して受け取って」と呼びかけた。また、集いを開いた県退職公務員連盟出雲支部女性部の槙原智子部長は「話して頂けなかったら知ることなかった。私たちがしっかり受けとめたことが支えになれば」と話した。
毎日新聞タグ: ALS
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