家庭感覚でケア 画家の井口さん、自宅で通所介護施設
独自の「球塗り」でリハビリ
高島市今津町弘川の画家、井口安行さん(54)が自宅をリフォームし、市内初の認知症専門の通所介護施設「デイサービスセンターいまづ」を始めた。発泡スチロール製のボールに絵の具で色を塗る独自の「球塗り療法」をリハビリに導入。家族ぐるみの家庭的な介護を大切にしながら、認知症の高齢者をケアし、喜ばれている。【近藤修史】
抽象画家として活躍していた井口さんは89年、友人の父親が経営する京都府宇治市の福祉施設にボランティアで参加。同年末、絵画の経験を生かし、柄を付けた直径約20センチのボールに絵の具で色を塗る「球塗り療法」を考案した。
これは地球の緯度のように白いボールを1周する線をフリーハンドで5本描き、六つのスペースに分割。それを上から赤、余白、黄、余白、青、余白に筆で3色に塗り分ける。認知症の高齢者が集中して取り組むことができ、完成時の達成感が認知症状を安定させるという。
井口さんは、その後も国内初の認知症専門病院の「きのこエスポアール病院」(岡山県笠岡市)で約2年間、研究員として勤務し、94年に高島市に移り住んだ後、市内の福祉施設などで同療法を指導した。
今年5月、認知症の高齢者向けのデイサービスの必要性を感じ、自宅のトイレなどをバリアフリー化して専門のデイサービスを立ち上げた。県元気長寿福祉課によると、認知症専門のデイサービスは県内に約50カ所あるが、同市では初めて。
現在、市内の認知症の80~90代の5人が通い、井口さんの妻で、保健師のちづるさん(52)が健康管理などを担当。長女眞生(まお)さん(13)と長男慧人(あきひと)君(11)も放課後などに、お年寄りと交流する。認知症の家族の介護経験があるスタッフら6人も加わり、家庭的な雰囲気を重視したケアに取り組んでいる。
井口さん夫妻は「球塗り療法と自宅感覚のデイサービスで、認知症の高齢者の症状を安定させることができる。高齢者の家族のサポートにも力を入れていきたい」と意気込んでいる。
午前9時半~午後4時。介護保険の対象で、利用者は1割負担。定休日は日曜と木曜。問い合わせは同センター(0740・22・1194)。
毎日新聞
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