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前年度比1.5%増 674件 高齢者虐待

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。


2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。


わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。


人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。


そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。


介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。


今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。


怒鳴る、無視する、生活費を渡さない―。県がまとめた高齢者への虐待調査で、殴る・けるなど身体的な暴力行為に加え、威圧的な態度や暴言によって身体的・精神的に追い詰められる高齢者の実態が明らかになった。2008年度、家族などの養護者による虐待認定数は前年度比15・4%増の674件。「家族からの虐待は表面化しにくいケースも多く、潜在的にはもっと多い件数になるだろう」と県高齢者福祉課。身内の問題として抱え込まず、周囲も注意して見守ることが必要だ。


調査は、65歳以上の高齢者を対象に県内70市町村に寄せられた相談や通報件数をまとめた。


施設従業員などの虐待に関する相談は48件。頭部をたたいたり、体を拘束するなど身体的な虐待が多く、証言や状況証拠から実際に虐待と認定されたのは5件だった。


家族による虐待は、市町村が確認しただけでも前年度比90件増の674件で、被害者は716人。半数近くの人に認知症の症状がある。


虐待の内容では、身体的虐待が41・7%▽ののしったり、無視するなどの心理的虐待25・4%▽食事を与えない、風呂に入れないなど介護放棄が17・4%▽年金を無断で使う、生活費を渡さない経済的虐待15・0%―など。心理的虐待は06年の高齢者虐待防止法施行後、増加傾向にあり、県高齢者福祉課は「言葉による暴力も虐待だという認識が広がり、通報が増えたからではないか」と分析する。


虐待を受けている人の76%は女性。80歳代が最も多い。虐待をしているのは息子40・3%、娘16・6%、配偶者15・2%と続いた。


同課は「家族間の問題だからと我慢せず、ささいなことでも市町村や地域包括支援センターに相談して外部の支援を受けてほしい」と話している。


埼玉新聞
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