高齢者虐待:423件、被害の8割女性 実の息子からが半数 昨年度
06年度に県内市町村が把握し対応した高齢者への虐待が423件に上ることが分かった。介護職員による2件を除くと、ほとんどは子供や夫など家族からの虐待だった。05年度比で約2・3倍に増えており、06年4月に施行された高齢者虐待防止法が通報を後押ししたとみられる。だが、県は「危険なケースは表に出るが、通報されず把握できない虐待も多い」と推測している。
虐待の被害者は女性が8割を占めた。虐待したのは実の息子(49・2%)が最も多く、実の娘(16・9%)、夫(16・6%)と続いた。暴力など身体的虐待が272件で、暴言を浴びせる心理的虐待や、介護を放棄する「ネグレクト」を伴うケースもあった。生命の危険があるため保護した事案も13件あった。
相談や通報をしたのは、ヘルパーや介護保険事務所の職員(38・5%)が最も多く、従来は「他人の家のことを告げ口できない」と通報に及び腰だった近隣住民や、市町村職員からの通報もあった。また、認知症高齢者のグループホーム2施設で、職員による身体的・性的虐待などがあり、自治体から注意と指導を受けている。
相談・通報を受けた市町村では、高齢者支援に当たる地域包括支援センターなどの職員を家庭訪問させ、解決を図っている。しかし、外部の者が他人の家庭に介入することはもともと難しく、虐待には家族の心の問題も絡むため、解決までに時間がかかることが多いという。70代の女性が孫娘に身体的虐待を受けていたケースでは、職員が何度訪問しても家族が虐待を認めないため、女性の姉妹の協力を得て家族と離れて暮らすよう支援した。
県は「高齢者虐待対応専門員」の養成や、高齢者と接することの多い団体によるネットワークづくりを推進しており、「虐待を目にしたらぜひ相談してほしい」と呼びかけている。【稲田佳代】
毎日新聞
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