おおさか街かど福祉ネットワーク代表・権田千春さん
◆PT案見直し求め署名活動--権田千春さん(59)=和泉市
◇全国に誇れる府の補助金制度 「全額削減はお年寄り切り捨て」
独居などの高齢者に昼間の居場所を提供する大阪独自の「街かどデイハウス」。民間グループやNPOなどが府内で約160施設を運営しており、その事業者団体「おおさか街かど福祉ネットワーク」の代表を務める。府改革プロジェクトチームの財政再建試案(PT案)で、各施設への補助金が09年度から全額削減される方針が示され、「お年寄りの行き場がなくなってしまう」との危機感を強めている。
98年に府の「デイハウス」制度が正式発足する1年前、和泉市内に独自の託老所を開設した。「近所で行き場を失ったお年寄りを何とかできないか?」。国の介護保険制度も始まる前で、出身地の北海道に高齢の母親を残してきたため、「自分が近所でやった親切が、巡り巡って北海道まで届けば……」との思いもあった。
当初から運営はほとんどボランティアで、施設となる民家の改装費など約800万円もほとんど、自腹で賄った。現在も市内の「さくら荘」と「すみれ荘」で週6日、朝から夕方まで、介護をそれほど必要としない各10人のお年寄りが過ごしている。
両施設では「何事も強制しない」のが方針で、カラオケや手芸、囲碁など過ごし方は人それぞれ。「1人暮らしだと食事が偏りがち。1日1回でも栄養のバランスを取ってもらいたい」と手料理の昼食にも手を抜かない。
寝る前は常に携帯電話を枕元に置き、利用者、非利用者を問わず相談に乗る。さみしさから深夜に電話をかけてくるお年寄りも多いという。
PT案の補助金削減は、施設の存続に直結しかねない問題だ。さくら荘では、運営費約900万円のうち、約600万円を補助金に頼っている。残りは1人1日1000円(食事代込み)の利用料で賄う。府内の各施設とも補助金への依存度が高い。
「年間600万円の補助金でお年寄りの面倒を見られるなら、制約の多い介護保険と比べても、ずっと安上がり」と考えている。これから団塊の世代が高齢化する中、「介護保険では救えないお年寄りが多くいる。制度のすきまに落ち込んでいる人とともに、一緒にはい上がりたい」とも。
同ネットでは、PT案の見直しを求め、利用者や施設関係者を中心に署名活動を始めた。「大阪が全国に誇れる福祉制度。知事が交代したからと言って、すぐに切り捨てていいはずがない。どうか行政も存続に協力してもらいたい」と訴える。【平野光芳】
毎日新聞
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