中越沖地震:在宅介護高齢者、64人が入所継続

中越沖地震発生後、避難所暮らしに耐えられず、短期入所施設に緊急入所した柏崎市内の在宅介護高齢者のうち、約2割に当たる64人が家族が介護できないなどの理由で9月以降も入所を続けることが同市の調査で分かった。同市は今後、これら高齢者の家庭状況を見極め、長期入所扱いに切り替えるかを判断する。


緊急入所したのは要介護1~5の高齢者。ピークの7月20日には市内の短期入所施設7カ所に総定員を145人も超える315人が入所した。その後、被災した自宅の片づけや仮設住宅の完成で入所者数は減り、先月30日現在では、すべての施設で定員を下回っている。


しかし先月31日までに、市が市内各施設を通して緊急入所者の被災状況や健康状態などを調べたところ、自宅倒壊で家族の生活再建のめどが立たずに介護ができない――などの理由で、9月以降も入所を続けざるを得ない人が64人に上ることが判明した。


市内の長期入所施設8カ所の定員は計520人。ほとんどの施設で地震前から入所待ちの状態が続いており、市は災害時の特例で、各施設に対し法令定員の1割増の受け入れを要請している。


同市北園町の特養ホーム「しおかぜ荘」(松井裕園長)では、短期入所定員の3倍を超える延べ74人が緊急入所した。うち11人が現在でも同ホームを含む市内外の施設で入所を続けている。


松井園長は「地震で生活が崩れ、在宅介護してきた家族のモチベーションが下がるのが心配。耐えきれなくなって施設を利用する人がこれから増えるのではないか」と懸念している。【岡田英】


◇帰りたい、面倒みたい…


柏崎市の「しおかぜ荘」の個室。「いつ帰れるの」。緊急入所した同市中浜の若山コノさん(95)が不安げに尋ねると、長女の栗林寿美子さん(71)は「歩けるようになったらね。だからちゃんとリハビリしなきゃ」と諭す。だが個室を出ると「親にうそ付くなんて……」と涙した。先月31日、母を長期入所にする手続きをとり、自宅に戻れる見込みがないからだ。


1人暮らしの若山さんは「要介護3」で認知症。栗林さんは母のために妹(57)と交代で週2日、実家に泊まり込んで介護してきた。しかし自宅が全壊し、避難所暮らしを余儀なくされた。自分の生活に必死で母の介護が続けられなくなった。避難所閉鎖後は市が用意した民宿で、先の見えない不安を抱えながら暮らしている。「家のことは母に言ってないんです。ショックを与えるかもと思うと怖くて……」


「地震がなければ……」。何度そう思ったかわからない。でも今は生き延びたからこそ母を最後まで面倒をみたいと思う。「また介護ができる時がきっとくる。今はそれを励みに頑張ります」【岡田英】


毎日新聞
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