遠き親へ:介護・第1部 読者の反響特集 「同じ苦労」に共感

今月上、中旬に掲載したシリーズ介護第1部「遠き親へ」に多くの感想や体験が寄せられました。親にとって、子にとって、どんな暮らしが望ましいのか。反響の一部を紹介しながら改めて考えました。【磯崎由美】


◆男性から


◇いつまで続くか


定年後、高知で1人暮らしの母の遠距離介護に直面しています。これまでは郷里の妹に任せっきりでした。


母は慢性病に加え、炊事中に大やけどをしたり、冬は肺炎、夏は熱中症と入院が絶えません。認知症も表れケアハウスに入りましたが、通院介助は家族がするよう言われており、2カ月に1度マイカーで帰省します。片道6時間。私自身も視力が低下し、いつまで続けられるか不安です。


身近で世話できない自責の念。少しばかりの蓄えがどこまで持つのかという不安。心揺れる中で連載を読み、同じ苦労をしている人は多いのだと知りました=大阪府、元会社員、男性(66)


◆嫁から


◇国、自治体が支援を


読むたびに心がざわつきました。夫の実家は信州の過疎の村。義父は「ここは産業がないから」と私たちが東京に住むことを理解してくれましたが、義母はUターンを望み、私たち長男夫婦は月に1度帰省していました。義父が亡くなると、義母を呼び寄せました。でも畑もない都会になじめず、結局、実家をバリアフリーに改造して戻しました。費用は私たちの負担です。やがて夫も職場で倒れ寝たきりに。夫をみながら義母の元に通った3年間、体に鉛の玉が入っているようでした。義母と夫を看取り、今は入退院を繰り返す埼玉県の実母の事が悩みです。


自分も年を重ね、人は必ず老いると実感します。不安ですが、わが子には心の鉛や親族との確執を経験してほしくない。介護殺人が相次いでいます。老いは避けられないのに、なぜこうも負担を感じなければならないのでしょう。介護は美談ではいけない。国や自治体が支えるべきです=東京都中央区、無職、小林典子さん(65)


◇夫婦で乗り切った


一人っ子の夫を単身赴任させ、3人の子を育てながら夫の両親を元気なうちに呼び寄せました。寝たきりになってから引き取るのでは、嫁の自分がつらい。早くからコミュニケーションを取り、好みや習慣を知ったほうがうまくいくと思ったからです。看取りを終え、同居は子どもにとっても、老いを見つめ命を考える良い機会になりました。つらいこともありましたが、夫は仕事が忙しい時も愚痴を聞いてくれました。夫婦で乗り切った介護と思います。家族が一つになって試行錯誤すると、きっといろんな解決法があるはずです=大分市、主婦(60)


◆子世代から


◇強い心ないとつぶれる


父亡き後、認知症が始まった母を呼び寄せました。仕事と育児があり、いざという時駆けつけられないからです。既に義父母と同居していたので、近くのアパートに入れました。


やがて母は「帰りたい」と言い出し、タクシーを呼び実家に帰ってしまうこともあり、その度に連れ戻しました。私は間違っているのか。悩んでいた時、親族に「親の面倒を見るのは当たり前。間違っていない」と言われ、救われました。認知症のためか、言葉の暴力も受け、毎日が闘い。でも孤独死や犯罪被害に遭わせるくらいなら、けんかしてでも介護するほうがいいと思ったのです。介護うつにならなかったのは、仕事を続けたことで気分転換できたからでしょう。


介護にはこれがベストという道はないのでしょうが、強くぶれない心を持っていないと、つぶれてしまいます。親世代にお願いがあります。よく「住み慣れた故郷で暮らしたい」と聞きますが、それは健康あってのこと。心配してくれる身内がいれば世話になり、その人が経済的に苦労しないよう配慮してください=大阪府枚方市、会社員、女性(43)


◆親世代から


◇寂しさと感謝と


夫と母と一緒に兵庫県姫路市に住んでいました。健康な時は、子と離れていることが子への孝行と思っていました。やがて母を看取(みと)り、夫も他界。最初は泣き暮らしましたが、まだ余力があり、ボランティアをしながら1人暮らしをしていました。


ところが昨年、腰の激痛に襲われ「要介護1」に。ヘルパーを頼みましたが、夜は痛みで眠れず不安です。息子夫婦は東京と姫路を行き来し、ついに「連れて帰る」と言いました。焼け跡に夫婦で建てたわが家。もう帰れないのか。心は千々に乱れ、早く回復しようともがくほど、あきらめの気持ちもわいてきます。


東京に来て4カ月。故郷は遠く、何かにつけ住み慣れた家が懐かしい。でも息子に迎えられた私は幸せ。もう少し頑張って生きようと思います=東京都武蔵野市、無職、竹花いとみさん(84)=9月6日は遠距離介護の知恵を特集します。


毎日新聞
タグ:

If you enjoyed this post, please consider to leave a comment or subscribe to the feed and get future articles delivered to your feed reader.

Comments

コメントはまだありません。

コメントをどうぞ

(必須)

(必須)