最大手コムスン処分から1年 承継企業「採算取れず」事業所廃止
保険法改正に報酬引き下げ「事業は限界」--負担増は家族に
訪問介護最大手コムスンから引き継がれた在宅介護事業が揺らいでいる。九州・山口では、介護大手のセントケア・ホールディング(本社・東京)がこの半年で3事業所を廃止した。コムスンが介護事業の不正行為で厚生労働省から行政処分を受けて間もなく1年。専門家からは「現在の介護保険制度では在宅介護事業は限界」との指摘もある。【関谷俊介】
コムスンの在宅介護事業は、九州・山口では▽福岡県は麻生介護サービス▽山口県はサンキ・ウエルビィ(本社・広島)▽鹿児島、沖縄県は徳洲会▽残る5県はセントケア--が承継。
セントケアが引き継いだ事業所では07年6月末時点で全国に3187人いた元コムスン従業員が、事業承継(11月1日)後の12月末には2638人と約2割減った。
介護労働者でつくる日本介護クラフトユニオンによると、今年4月末現在の組合員数は約5万4000人。1年前に比べて約1万人減ったという。
事業所の閉鎖も、相次いでいる。セントケアは、承継から今年4月までに全国14県の157事業所中7カ所を廃止。うち3カ所は佐賀、大分市と佐賀県唐津市の事業所だった。
セントケアは「従業員減少で利用者に対応できなくなり、利用者も減った。採算を取るため拠点を統合した」と説明する。
一方、サンキ・ウエルビィも山口市の1事業所を、ジャパンケアサービス(本社・東京)も全国で8カ所の事業所を閉鎖した。
北九州市で在宅介護サービスなどを提供する社会福祉法人の幹部(50)は「介護報酬引き下げなどで将来設計が立てられず、特に男性の正社員が集まらない。結果的に利用者の求めに対応できず、運営も厳しくなった」と言う。
鹿児島大法科大学院の伊藤周平教授(社会保障法)は「06年の改正介護保険法で軽度者の利用が制限されたことに加え、介護報酬も引き下げられ、在宅介護事業は経営的に限界に来た」と指摘。療養病床削減などで施設から在宅介護への流れを進める国の方針を「受け皿が整っておらず家族の負担が増えるだけ」と批判する。
毎日新聞
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