後期高齢者医療、情報処理が1か月遅れ
保険料軽減情報届かず…自治体側が危機感
後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の加入者のうち、軽減された保険料を10月から徴収される人たちの情報が、都道府県の広域連合に届くのが遅れている。
対象者が確定できないと、7月から徴収が始まる人と混同する恐れがある。最大原因は、社会保険庁による企業からの情報収集が進まなかったこと。予定より1か月遅れのペースで、各広域連合では「今後、大量のデータが来ても間に合うかどうか。保険料を間違えるなどのミスが心配だ」と危機感を募らせている。
75歳以上を対象に4月に始まった新制度の加入者は、〈1〉国民健康保険からの移行者約1100万人〈2〉会社員の子供などの扶養家族(被扶養者)だった約200万人〈3〉75歳以上でも企業に勤めるなど健康保険に加入していた約35万人――に大別される(図参照)。このうち、〈1〉の国保からの移行者については、国保の実施主体が市町村だったため広域連合も情報を共有しており、一定額以上の年金受給者約832万人について、4月から保険料徴収が始まっている。
〈2〉と〈3〉の情報は各健康保険組合などが持っていたため、広域連合では、75歳以上の住民情報から〈1〉の対象者を除けば、「〈2〉〈3〉のいずれかに該当」までは把握できるが、〈2〉か〈3〉かの区別がつかない。そこで、広域連合は、健保組合側から〈2〉の被扶養者情報の提供を受け、住民情報と突き合わせる。被扶養者は激変緩和措置の対象で、広域連合ではこの対象者を確定させた上で、10月から徴収し、〈2〉の確定で自動判明する〈3〉の約35万人については、7月から保険料を徴収する。
こうした日程を前提に、厚生労働省は、〈2〉の被扶養者情報を4月30日に届けると広域連合に説明していた。ところが、主に中小企業の従業員が入る「政府管掌健康保険」の被扶養者だった約110万人について、運営主体の社保庁による情報収集が進まず、計1万人弱しか届かなかった。同日に届いた情報は他の健保組合や共済組合を合わせても計約68万人にとどまった。
厚労省は「企業側の処理が遅れた」と説明。社保庁に収集を急ぐよう指示し、次の提供日を5月30日と定めた。仮にこの日に全データが届いても、広域連合の処理は厳しい日程を迫られる。処理が間に合わないと、軽減された保険料を払うはずの〈2〉の対象者を〈3〉と混同し、軽減されない保険料の通知や納付書を送付するミスが生じる恐れがある。
〈3〉の徴収を7月に始めるのは、広域連合は、前年所得が確定する6月に加入者全員の保険料を正式算出し、7月に通知するため。多くの自治体が7月徴収を条例で定めており、今から遅らせるのは難しいという。
岩手県の広域連合には、4月には想定の約25%しか届かなかった。担当者は「1か月遅れの処理は厳しい。国は企業側に十分周知しておくべきだった」と憤り、岡山県の担当者も「誤った通知を送った人から申し出てもらうケースが出るかもしれない」と懸念する。
さらに不安なのは、4月に届いた情報でも、名前の読みが違っていたり、他県のものが含まれていたりしたこと。広域連合は、健保組合に個別に問い合わせるなどして確認を急いでいる。
激変緩和措置 サラリーマンの子供などに扶養され、これまで保険料負担がなかった「被扶養者」が、新制度加入で保険料が新たに生じるため、一時的に負担を和らげる措置。被扶養者は、今年4月から9月まで保険料を負担する必要がなく、10月から来年3月は、加入者数に応じて決まる「均等割」部分の1割だけ払えばいい。収入に応じて増える「所得割」部分も、加入から2年間はゼロとなっている。
読売新聞
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