楽しく新鮮 男も台所
定年退職をきっかけに、料理を学ぶ男性が増えている。現役時代には包丁も握ったことがないという人ほど、今までにない楽しさに魅了されるようだ。シニア男性だけを対象にした料理教室も人気を集めている。(安田武晴)
男性、初心者
横浜市金沢区の曽根洋さん(63)は、電気機器メーカーを定年退職した直後の2003年11月から、「財団法人ベターホーム協会」の料理教室に通っている。「ゆとりある時間を生かし、じっくり続けられることをやろう」との気持ちからだった。
料理の経験は、「単身赴任中の3年間で、そうめんを2回ゆでただけ」という程度。そこで、男性向けの初心者クラスを選んだ。月1回で、教わる料理は3~4品。包丁の持ち方、食材や調味料のはかり方など、料理の基礎から体系的に教えてくれる。
「焼きギョーザでは、豚ひき肉は脂の多いものを選ぶ」など、習ったことはメモを取り、自宅で必ず同じ料理を作って復習する。試食してくれる妻の巴子さん(63)は、「食材や調味料の分量が正確なので、味が安定している」と評価する。
曽根さんは、「新鮮で楽しいからまじめに学べる。レシピを見ないでも作れる得意料理を持ちたい」と、胸を膨らませる。
シニア限定
男性料理サークル「男子厨房(ちゅうぼう)に入ろう会」の本部事務局長、今野正敏さん(70)によると、男性対象の料理教室は、1977年に同会が活動を始めた後、徐々に広がった。シニア限定の教室は、7~8年前、自治体の地区センターなどで開かれるようになり、ここ数年は一部の大手料理教室主催のものも登場している。
冒頭の曽根さんのクラスは男性一般が対象だが、全国各地で料理教室を開く同協会では05年春から、「60歳からの男の基本料理の会」というシニア向けクラスを、首都圏や京阪神など全18教室で展開している。月1回の1年コースで、入会金2100円、費用は材料費を含め年4万2400円(ともに税込み)だ。
「この世代の男性には、ほとんど包丁を握ったことがない人も多い。同世代の仲間たちと一緒なので、気後れせず、気楽に楽しみながら学べる」と、同協会の三輪みどり広報課長。料理を始めたことにより、妻に感謝の気持ちを持つようになったり、友人が増えたりといった効用もあるそうだ。
脳を元気に
大阪ガスクッキングスクールは05年6月、55歳以上の男性を対象にした「脳を元気にする男性シニアクッキング」を開講した。きっかけは、同年春、大阪ガスと東北大が共同で行った実験で、料理の習慣が脳を活性化するという結果が出たことだ。
定年後の男性21人に、週に1回の料理教室参加や、自宅で週5回以上の料理を約3か月間、続けてもらい、脳機能の変化を調べたところ、言葉を作り出す能力や思考力に向上が見られたという。月1回3か月で、材料費を含め7500円(税込み)。調理と脳の活動について説明を交えながら教えてくれる。来月からのコースも、すでに満員の教室が出ているという。
読売新聞

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