認知症同士の穏やかな共同生活
グループホームは、認知症の人たちが介護職員の助けを受けながら一つ屋根の下で暮らす施設である。家族的な親密さを考えて入所者は9人までと決められている。
宮崎市高岡町の辰元グループには3つのグループホームがある。99年に完成した1号館は定員8人、02年に完成した2、3号館は各定員9人だ。グループホームの名称は「たちばな」で、各館6人の職員がローテーションで介護している。空床が出るのは、認知症がさらに進み、特別養護老人ホームなどに移る人が現れた時だ。だがこの施設は待機者が多く、空床はすぐに埋まってしまう。
入所費は月平均10万円程度と、最低5万円前後ですむ特別養護老人ホームや老人保健施設よりも高い。行政上、グループホームは「施設」ではなく「住居」として扱われるため、入所者への経済的な軽減措置がない。それが他の施設より高額になる主因である。
歩ける入所者がほとんどで、自力で食事も排せつもできる。ほぼ全員、オムツはしていない。年齢は80代後半から90代前半の人が多い。「できる限り自立して生活するのが望ましい」という考えから、入所者たちが共同で家事にかかわることを目指して施設を運営している。食事や洗濯や掃除など、身の回りの世話は職員が交代で行うが、中にはそれを手伝う入所者もいる。入所者は各自が約7畳の広さの個室を使う。個室は畳と板の間の両方がある。ベッドやタンスのほか、私物が置いてある。夜は個室で眠るが、昼間は広いリビング兼ダイニングキッチンの共有空間で過ごす。
1日の流れはこうだ。午前7時、夜勤明けと早出の職員の計2人が朝食を作り始める。午前8時に全員そろって朝食を取り、昼食まで談笑しながらくつろぐ。職員は時間差勤務で、昼間は常時2人から4人が在駐し、夜は職員1人が泊まる。午後は交代で風呂に入り、風船バレーや玉入れなどのゲーム、しりとり遊びなどで過ごす。午後5時半に夕食を取り、午後8時には就寝する。
波風のない穏やかな時間が流れていく。だが入所者のほとんどは「自宅での介護は無理」と家族が施設へ預けたのである。中へ入れば、外見とは違う内情があるはずだ。【大島透】
毎日新聞

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