介護施設で老いを考えた 介護保険の衝撃

要介護度で高齢者のすべてを分類


「介護保険が高齢者を取り巻く光景を一変させてしまった」とは、多くの施設関係者から指摘されることだ。介護保険が00年に始まる前、介護施設は事情のある人だけが入る所だった。「自宅で介護すべきなのに、親を預けて申し訳ない」というのが家族の気持ちだった。これに対して「気の毒な人を何とか助けてあげなければ」というのが施設側の気持ちだった。そこには福祉の精神が輝いていた。


それが介護保険を境に変わった。すべての高齢者は「要介護度」によって分類された。そのランクによって介護保険で利用できる施設やサービスが決まる。公的介護は「申し訳ない」と遠慮がちに受けるものではなく「権利」になった。「権利なら目いっぱい使わなければ損だ」と考える高齢者も増えた。介護の現場には「福祉」より「サービス」の言葉が飛び交うようになった。その功罪については後述するが、まずはランクによる施設の種類を説明する。宮崎市高岡町の辰元グループを例に、それぞれの施設の性格と入所費を比較してみよう。


要介護度が最も重い人が入るのが特別養護老人ホームである。入居費は本人の介護度や家族の所得などで変わるが、最低で月4万円弱だ。それより介護度が軽い人を対象にリハビリを重視するのが老人保健施設で、経費は最低で月5万円弱かかる。どちらも共同部屋が主だ。老人専門の病院もあり、入院費は最低で月5万円弱となる。


元気だが認知症の高齢者が、共同生活(最大9人まで)するのがグループホームだ。全個室で、月に10万円程度かかる。


介護度とは無関係に入居でき、食事つき高齢者向けの個室アパートといった性格の施設がケアハウスで、経費は月に7、8万円だ。夫婦部屋もある。裕福な高齢者向けには、民間経営の有料老人ホームがあり、高価な施設が県内のあちこちに新設されている。


こうした多種類の施設が同一条件で比較できる県内唯一の利点から、辰元グループに今回の取材協力をお願いした。県内の他の介護施設との優劣を比較検討したうえで取り上げたわけではないことを最初にお断りしておく。では次回から施設の現場を一つずつ訪ねてみよう。まずはグループホームから--。【大島透】


毎日新聞

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