最期は一人、「選択縁」が最良

「ピークは過ぎ、今は人生の秋。でも、1人で生きるノウハウも覚悟もあります」。社会学者の上野千鶴子さんは言う。人生の秋を楽しく過ごす3カ条と、その心を語ってもらった。


最期は1人


予定できない死を抱えながら生きているのが人間です。超高齢社会では配偶者や子どもに先立たれる可能性もないわけじゃない。男も女も、既婚者も未婚者も、子どもがいてもいなくても、「最期は1人」を覚悟しなければ。


友人が仲の良い夫をなくし、痛手を受けていると思っていたのに、気軽に自宅に人を呼び、外を飛び回って「これは夫が贈ってくれた時間」と喜んでいました。「(結婚しても、しなくても)最期は同じじゃない」と思いました。


データをみると、死ぬまでに平均半年の寝たきり状態を経験します。


「自分の老後なんて考えたくない。野たれ死にするさ」という男性の声を聞くことがありますが、ノウハウも覚悟もないようでは、はた迷惑なだけ。妻に先立たれて要介護状態になったら、どうするのでしょうか。


人のためより自分のため


老後、自分がいかに意欲的に活動し、世のために働いているか、蕩々(とうとう)と話す男性がいますが、高齢者はお役に立たなければ生きている値打ちがないのでしょうか。


介護を受けている高齢者に、「生きていてくれるだけでいい」と言ってあげられるか。逆の立場になった時、自分が人にそう言ってもらえるか、と考えてみてください。


男性が介護の現場を想像するのによい本として、還暦近い夫婦が高齢の父母を介護する「黄落」(佐江衆一著)があります。フリーターが寝たきりの祖母を自宅で介護する「介護入門」(モブ・ノリオ著)は、介護者の喜びを描き、祖母に生きてくれているだけでいい、と伝える感動的な小説です。


女性が1人になった時の準備には、吉沢久子さんや佐橋慶女さんの本をお薦めします。男性にも役立つはずです。


選べない家族の縁より選べる他人同士の縁


「明るい老後」を送っている高齢者のインタビュー調査に関わって分かったことは、「時間はひとりではつぶれない」「時間はひとりでにはつぶれない」というシンプルな事実です。つまり、老後の時間を豊かにつぶすには、仲間とノウハウが必要ということです。その2つがなくて、つぶれない時間は「地獄」です。


介護問題も家族による介護をモデルにしている限り、解決しないでしょう。互いが納得して選び合う他人同士の関係、「選択縁」が解決策と考えています。選べない家族や親族の関係は年をとれば減っていくが、選べる友人関係はいつでも、どこでも、何歳でも、新しくつくれます。ただ、それは昨日今日で身につくものではないので、できるだけ早い時期から仕事や家族以外の趣味や交友関係を持つべきです。


京都新聞
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