(78)最近の若い者も…頼れる
わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。
2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。
わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。
人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。
そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。
介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。
今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。
『
かつては私もよく「最近の若い者は」と言われたものである。でも今は、茶髪にピアスで道にしゃがみ込んでいる若者を見ると「最近の若い者は」と言いたい側になってしまった。
ところが考えてみると、介護の世界は、この若者たちが中心になっているのだ。私たちの時代には、介護の仕事をしたいなんて者はいなかったから、それだけで私は感心してしまう。しかも年配者がいない、若者だけの介護現場がじつにいい仕事をしているのだ。
NPO法人が運営する「宅老所いろ葉」は鹿児島市にある定員10人のデイサービスだ。介護保険外で泊まりのサービスもしている。代表の中迎(なかむかえ)聡子さんが4年前の28歳のときに始めた。今でもスタッフの中で彼女が最も年上だ。
利用者の要介護度の平均が「4・5」と聞くと、関係者はみんな驚く。要介護の状態区分には1から5まであって5が最も重度だ。平均4・5というのは入所施設ならまだしも、デイサービスでは聞いたことがない。つまり、最も重度な寝たきりや認知症の人を家族と共に地域で支えているのだ。
施設と病院から「認知症」というレッテルを張られていたSさんは、「いろ葉」に来た最初の4、5日は24時間叫びっぱなし。それが15日目、「苦しみのつぼの中からようやく出てきた」と言って、第二の人生を生き始めるのだ。
こんな感動的な話が書かれているのが『介護戦隊いろ葉レンジャー参上』(雲母書房)という本だ。こういう若者たちがいるなら年をとっても安心だ。「最近の若い者」を見直す一冊。(三好春樹=「生活とリハビリ研究所」代表)
読売新聞