先手打ったチェック有効
訪問介護事業所開設時の虚偽申請が発覚したコムスン(東京)の事業譲渡先が決定した。神奈川は民間介護大手のジャパンケアサービス(東京)が訪問介護事業などを引き継ぐことになった。
とりあえず「介護難民」は避けられる見通しだが、事業譲渡せざるを得ないような事業者の不正行為を、長年見過ごしてきた行政側の責任は重い。チェック体制の強化が求められる。
二〇〇〇年四月からスタートした介護保険制度は、サービスの「受け皿」が大きな課題だった。規制緩和の流れもあり、訪問介護を中心とした在宅サービスには株式会社や特定非営利活動法人(NPO法人)が次々と参入した。受け皿づくりを優先させ、書面審査だけで指定してきた。
厚生労働省は〇六年度の介護保険法改正で監査体制を強化。介護サービス事業者への業務改善勧告や改善命令を新たに設定した。市町村が指定した事業者に対しては市町村が監査を行い、取り消しまでできるようになった。
そんな中、コムスンの大がかりな不正行為が発覚した。厚労省の要請を受けて実施した県の監査でも、ずさんな運営内容が次々と明らかになった。コムスンほどではないが、他の訪問介護大手でも指定申請時の人員基準違反や介護報酬の請求ミスが確認された。
監査の重要性が再認識されたといえるが、大都市を除く市町村は監査実績が少なく、ノウハウに乏しい。残念なことに、ときには「何をやればいいのか」といった問い合わせも県に寄せられるという。こんな状況では監査の充実は期待できない。
市町村を含めた監査の質を向上させてばらつきをなくす狙いで、県は〇八年三月までに介護保険の監査マニュアルを策定する。具体的な内容はこれから検討するが、これまでの県の監査実施例を基に監査の基本的な考え方や手順などが盛り込まれる見込みだ。
県は介護保険法の改正を先取りする形で、〇五年四月に介護保険監査班を設けて監査に力を入れている。利用者などの情報提供を受けて〇六年度までに百七事業所を監査し、四事業所の指定を取り消した。市町村に比べ監査のノウハウは群を抜いている。
だが、マニュアルがあっても、それを生かす人材がいなければ「絵に描いたもち」で終わってしまう。県ですら監査班のスタッフは六人しかおらず、業務に追われている。住民の生活を守るという観点から、各自治体は監査体制を充実させてほしい。
監査だけでなく、その前段階の指導や監督を強めることも有効だろう。情報提供を待つのでなく、積極的に動いて早めに不正をチェックすれば被害も少なくて済む。その姿勢が事業者との緊張感を生み、不正防止につながるはずだ。
神奈川新聞

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