認知症対策で回想法広まる

お年寄りが過去を振り返り昔話などをすることで認知症の予防や症状緩和を図る「回想法」の取り組みが、県内でも広がっている。回想法によるケアを受けたお年寄りは、会話が活発になるなどの効果が出ている。認知症高齢者の急増が懸念されている中、心理面からの介護予防策として関心が高まっている。


横浜市青葉区の奈良地域ケアプラザでは、「懐かしの映画会」と題してお年寄り向けに昔の映画を年に二~三回、上映している。


自宅に閉じこもりがちなお年寄りに外出してもらい、認知症予防につなげるのが狙いだ。「上映の前後に当時の生活を語り合い、仲間づくりにもつながっている」と職員。


「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」。六月に開かれた上映会。約四十年前にはやった映画が主題歌とともに始まると、集まったお年寄りが身を乗り出し、何度も笑い声が広がった。


回想法は職員ら周囲の人がつなぎ役となって、グループや個人で自分の過去を話すほか写真や音楽、雑誌、生活用品を使うなど多くの手段がある。


「相手のことをよく知り、お年寄りが話せる環境をつくることが大切」。同市鶴見区の特別養護老人ホーム「新鶴見ホーム」で十三日、回想法を実践するトレーナーの養成講座が始まった。


回想法の普及に努めている「回想法ライフレビュー研究会」代表で同施設職員の中嶋恵美子さん(53)が講師を務め、全五回のシリーズで体験学習も盛り込んで回想法のノウハウを学ぶ。


県内の老人ホームでは二カ月半にわたり計十回、回想法のケアを受けた認知症のお年寄りの生活状態を調べた。その結果、ケアを受けた後は発言回数が増えて活発に入所者らと交流するようになり、表現や動作にも改善が見られたという。


新鶴見ホームでも特養ホームの入所者とデイサービスの利用者に回想法を行っている。特に、認知症になっていない人の方が効果的という。


ただ、無理に聞き出すのは禁物で、「平和」「愛」など抽象的なテーマも避けた方がいい。「『戦争中の服』『戦争中の食べ物』など、テーマを絞ってグループで話し合うのが望ましい」と中嶋さんはアドバイスする。


神奈川新聞
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