「給付金」不支給例も 2月以降死亡の特養入所者家族
わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。
2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。
わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。
人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。
そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。
介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。
今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。
『
特別養護老人ホーム(特養)入所者が二月以降に死亡した場合、入所者に支給されるはずだった定額給付金を家族が受け取れない例が県内で出ている。入所者の多くが行政の指導で住所を施設に移しており、死亡と同時に給付金の受け皿となる世帯主が不在になってしまうためだ。居住市町村の給付時期や利用施設の種類で、給付金受け取りの可否が異なる不公平が生じている。
盛岡市在住のタクシー運転手の男性(62)は、市内の特養に入所していた母親(93)を三月二十日に亡くした。
定額給付金は二月一日時点の世帯全員分が世帯主に給付されるため、もし母親が家族と同居で死亡していれば、世帯主が母親の分の給付金二万円をもらえるはずだった。
しかし母親は特養に入所する際、市の指導で住所を施設に移し「一人世帯主」になっていた。戸籍上別世帯である家族は、母親の給付金を受け取れない。
岩手日報