◇制度の狭間で困っている人「一つ屋根の下で受け入れる」 考える前に行動に移す
「あらゆる世代の障害者、高齢者を分け隔てなく一つ屋根の下で受け入れる」という理念のもと、地域の主婦らが、少人数の高齢者が生活するためのデイサービスなどを提供する施設「星が丘ホーム」を運営している。
法人の原点は、施設長の徳岡八重子さん(56)らが独居の高齢者向けに見守り活動を兼ねた給食サービスを始めた93年までさかのぼる。阪神大震災後は、区内の仮設住宅に住む高齢者を対象にした給食サービスなどのボランティア活動も開始。その中で、障害者や高齢者の生活再建の厳しさに直面した。
活動の中で利用者が孤独死した経験もあり、高齢者らが地域で安心して生活できる場をと、介護保険制度の開始を控え、少人数の高齢者が共同生活をするグループホームを計画。99年、被災した土地にホームを開設した。ニーズの高まりを受け、今年4月には障害者と高齢者の受け入れを目指す「第2星が丘ホーム」も完成させた。
しかし、理念の実現に向けては多くの工夫が必要だった。現行の法律では定員などでグループホームの基準を満たしていないため、デイサービスと独自の宿泊サービスを組み合わせることで、法律や制度にとらわれることなく対応。自宅で暮らす高齢者にも対応するため、訪問介護も始めた。さらに、不測の事態の際にケアマネジャーと連絡が取れないと利用者の命にかかわることから、05年にスタッフがケアマネジャーの資格も取得、24時間態勢で対応している。
「考える前に行動に移し、後から法律に合わせるという状況です」とホームの管理者、初世栄さん(51)は話す。その根底には「制度の狭間で困っている人を可能な限り受け入れよう」との思いがある。
また、仮設住宅での活動の経験から、地域との交流にも力を入れている。毎年、夏祭りなどを開催。今月24日にも周辺住民とのバーベキューパーティーを開き、親交を深めた。スタッフや入居者がホームの前などで近所の人と談笑し合う仲となり、互いに支え合う地域作りが進んでいる。
ホーム近くに住む満園健一郎さん(59)も「これだけ顔を合わせていると、こちらも手伝っていこうという気持ちになる。みんないつかは年を取るのだから心強い」と話す。
法人として次に取り組もうとしているのは、他の事業所との交流だ。区内の事業所に呼びかけ介護保険や障害者福祉の制度の問題点を探り、行政に改善を求める方針という。
徳岡さんは「利用者保護の点からも今の法律には限界がある。みんなのノウハウを共有し、介護を取り巻く問題の解決のためにも声を上げる段階に来ている。人生の最後を安らかに迎えられるよう力を合わせていきたい」と力を込めて語った。【内田幸一】
◇NPO法人「福祉ネット星が丘」(神戸市垂水区)
神戸市垂水区星が丘3の2の23。少人数の高齢者が暮らすホームを運営する。通所介護や訪問介護事業も行い、高齢者や障害者を総合的にケアする小規模・多機能な施設づくりを目指す。01年にNPO法人の認証を取得。可能な限り、あらゆる高齢者、障害者への対応や受け入れに自主事業などで柔軟に取り組んでいる。〓078・708・3233
毎日新聞タグ: 福祉ネット星が丘
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