上.認定区分の細分化
サービス低下 募る不満
「週二回各二時間の訪問介護は、今日から各一時間半になります。家事も自立のため、できるだけ一緒にやりましょう」
神戸市長田区の男性(89)は、昨年七月の要介護認定の更新で、それまでの「要介護1」から「要支援2」に変わった。つまり、運動・生活能力の低下を防ぐことを目的に新たに導入された介護予防の対象者。だが、そのサービス内容を、ホームヘルパーからいくら聞いても納得できなかった。
「できないから家事をお願いしてきたのになぜ?」
一年前、大幅な改正があった介護保険制度。認定区分は六段階から七段階に細分化され、最も軽度だった「要支援」は「要支援1」になり、次に軽度だった「要介護1」は、軽い順に「要支援2」と「要介護1」に分かれた。
加えて、「要支援1、2」を対象とした介護予防サービスの利用者は、例えば訪問介護でホームヘルパーと共同で家事を行うなど変更。一方で、同サービスを実施した事業所に支払われる「介護報酬」については、原則的に利用の回数や時間に応じた額だった従来の仕組みから、一律定額制に変わった。
「定額制だと、収入が頭打ち。介護予防サービスを手厚くすると、人件費がかさんで施設の経営が苦しくなる」。丹波市のある通所介護施設の所長はこう嘆く。介護予防サービスの回数や時間について、この施設を含む多くの事業所が制限を始めている。
こうした制度変更の背景には、もともとのシステムでは、軽度の人へのサービスが状態の改善につながらなかったことや、介護保険への民間参入で競争が激化し、一部にサービスの行き過ぎがあったことなどがある。
しかし、神戸市長田区の訪問介護事業所「ヘルパーステーションおおぞら」の沖本章子所長は「本当に必要な人からサービスを奪うケースも多くあるのではないか」と疑問を呈す。
ところで冒頭の男性。軽い認知症と手足にしびれのある「要介護1」の妻(86)と二人で暮らしているが、足が悪く、長い距離を歩くにはつえが欠かせない。また、ほとんど家事をしたことがなく、ホームヘルパーは心強い存在だった。訪問介護時間の短縮で、掃除を水回りだけにしたり、洗濯の頻度を減らしたりしているが、不安と不満は募るばかりだ。
「私と同じように、妻も次の更新で要支援にされ、さらにサービスが減ったら生活できない」
兵庫県内ではこの一年で、「要介護1」の認定者数が約二万三千人減少する一方、「要支援」は約一万六千人増えた。県高齢社会課は、従来の「要介護1」の約六割が「要支援2」に移ったとみている。(坂口紘美)
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