室蘭福祉事業協会が経営改革へ委員会設置

2004年 09月 19日 (日) | Category : 北海道の介護ニュース

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

老人デイサービスや保育所など室蘭市の保育・福祉事業を運営する、社会福祉法人・室蘭福祉事業協会(桜井孝輝理事長)は、同協会の組織体制や経営機能を抜本的に改革する「運営・経営委員会」を立ち上げた。委員長は高橋勲夫理事(元市議会副議長)。老人福祉と保育の2つの観点から、経営健全化に向けた体制づくりを検討する。来年3月までに基本計画を策定する。市の事業を受託する、社福法人が独自に経営改革乗り出すのは全道的に珍しい。


同協会は、総合福祉センター、老人デイサービス「かがやき」、特養老人ホーム「エンルムハイツ」「白鳥ハイツ」の福祉施設ほか、保育所は直営3施設、室蘭市受託2施設を運営、市の福祉行政を下支えしている。


同協会の本年3月期決算は黒字だが、市の補助金削減や、介護保険法の改正、国の福祉事業規制緩和などによる民間参入の自由化加速など、福祉法人の経営環境は今後ますます厳しくなる見通し。このため「職員の生活を守り、協会の存立基盤や経営環境に大きな影響が出てくる」(高橋委員長)との認識に立ち、補助金に頼らず、地域ニーズに合った福祉サービスの提供、体制整備を提案する。


委員会は高橋委員長ほか施設長、保育園長、保育士など委員16人で構成する。委員会では特養ホーム、デイサービス事業、ホームヘルプサービス、保育所の各担当に分かれ、11月までに「経営改革素案」を策定する。


素案は今後策定していくが、職員の意見を最大限取り入れていく。高橋委員長によると、経費節減、職員の倫理規定の策定などが提案されており、「職員に民間意識を植え付けて、チームワークの図り方などを論議したい」という。


この素案を基に理事会で各論を詰め、来年3月末までに事業と事業費が盛り込み、基本計画を作る。さらに専門分野でプロジェクトチームを組み、平成17年度に実施計画を策定する。同委員長は「他民間施設と設備面で差が出ているが、職員の経験、サービス内容など人的資源は他を圧倒する。これを最大限生かして安心感のある地域サービスを徹底させる」と抱負を語っている。


同協会は市から委託される業務もある。新宮正志市長はじめ室蘭市幹部は「大変素晴らしい考えだ。市の行革に通じるものがある。桜井理事長、高橋委員長を中心に改革を進め、全市的な福祉サービスの向上に努めてほしい」と話している。


室蘭民報
現在位置 : Home » 北海道の介護ニュース / 2004年09月 > 記事詳細
この投稿にはタグはありません。
関連する記事