要介護度3以上が4658人待機
わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。
2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。
わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。
人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。
そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。
介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。
今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。
『
広島県内の特別養護老人ホームへの入所希望者のうち、常に介護が必要とされる要介護度3以上で、老人保健施設など他の介護保険施設にも入所していない「待機者」の実数は、昨年10月の時点で4658人に上ることが県の調査で分かった。県は新年度から3年間での解消を目指すとしている。
県内163の特養(定員計9908人)に入所を申し込んでいる人は計2万6035人。これを精査した結果、自宅や有料老人ホームなど介護保険施設以外で過ごしているのは1万1117人。このうち排せつや着替えなどに全面的な介護が必要な要介護度3―5の人数が4658人だった。
県は新年度から3年間の介護保険事業支援計画で、特養や老健施設、認知症グループホームなどの整備により計約3200人の定員増を見込む。既存の特養には、入所者の入れ替わりなどで新たに年間約2100人が入所できるとしており、11年度末には計約5300人が受け入れられるようになるという。
中国新聞