65歳未満で発症する若年認知症の患者や家族らが集う「若年認知症ぐんま家族会」(徳江国夫会長)が28日、発足から2周年を迎える。働き盛りを襲う進行型の脳の病に、患者本人はもとより家族の精神的ショックは計り知れない。経済的にも社会的にも孤立しがちな患者や家族にとって、情報交換や日ごろのストレスを発散できる家族会は大きな支えになっている。【鈴木敦子】


県議会も協力的、全国大会を計画


「優しかった夫が急に暴力をふるうようになった」。「本人のプライドにかけてもアルツハイマー病だとは伝えられない」。毎月第3月曜日、前橋市野中町の県こころの健康センターで開かれる家族会には20人前後が参加する。毎回、夫婦で訪れる人もいれば、身内に内緒で初めて顔を出す人、県外からの人も。現在の会員は34人。


栃木県下野市の若井晋さん(61)は元東京大医学部教授。5年ほど前から文字が書けず、学生の論文を添削できなくなった。病院で検査として出された簡単な計算問題が解けず、かえってパニックに。妻克子さん(62)は夫に告知すべきか悩み苦しんだ過去を振り返り、「うちもそうだった」という声に救われた。


県内のパート女性(50)の夫(52)は仕事一筋で穏やかな性格だったが、約4年前から家族を殴り、怒鳴り散らすようになった。仕事も辞めざるをえず、「どこに相談すればよいかも分からなかった」という。医師の勧めで会に参加し、「夫が菓子を食べ過ぎ、止めようとすると暴れ出す」と打ち明けると、「食べていい量以外は鍵付きの棚に入れて隠し、本人の満足いくようにさせてあげれば」と他の家族からアドバイスを受けた。実践すると夫の機嫌は安定した。


認知症は高齢者の病気と思われがちだが、極端な記憶障害が生じるアルツハイマー病や人格の変化や理解不能な行動が特徴のピック病など40~50代でも発症する。全国に約10万人の患者がいるとされ、県は県内の患者数を約500人と推計している。


毎回約3時間の会合は、前半を勉強会、後半を交流会にしている。講師を呼んで先駆的な介護施設や保険制度などを学んだ後、グループに分かれてお茶を飲みながら、自由に話しあう。


若年認知症に詳しく、会の設立に携わった県こころの健康センター元所長の宮永和夫医師(現在は新潟県のゆきぐに大和病院長)は、日ごろの15分程度の診療では家族がなかなか本音を出せないと心配する。「われわれ医師や介護の専門家がもっと会に参加し、家族の悩みや要望に耳を傾けるべきだ。患者と多くの時間を過ごす家族の接し方で症状の進行が和らぐこともある」と話す。


県議会は今月、全国の自治体に先駆けて「若年認知症対策に関する意見書」を国に提出。原案は家族会が作成しており、国にも積極的な関与を求めた。活動が3年目になる今年は家族会の全国大会の開催も計画している。


毎日新聞
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