母の首絞め重体、娘逮捕 「介護に疲れた」 南会津

2007年 08月 30日 (木) | Category : 福島県の介護ニュース

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

29日午前6時25分ごろ、南会津町田島、無職、小田義一さん(65)方から「母親を殺した」と小田さんの妻イエ子容疑者(63)から119番通報があった。救急隊員がイエ子容疑者の実母、大竹カツエさん(92)があおむけに倒れているのを見つけ、病院に搬送したが意識不明の重体。県警南会津署は、イエ子容疑者を殺人未遂容疑で緊急逮捕した。イエ子容疑者は「トイレの世話など介護に疲れた」と容疑を認めているという。


調べでは、イエ子容疑者は29日午前6時10分ごろ、自宅1階で寝ていた大竹さんの首を、和服の着付け用ひもで絞め、殺害しようとした疑い。


同町や関係者によると、小田さん方は3人暮らしで、大竹さんは「要介護3」の認定を受けていた。大竹さんは当初、町内に住む長男夫妻と同居していたが、夫妻が仕事で日中の面倒を見ることが難しく、大竹さんは先月下旬ごろから小田さん宅に移り、3人で暮らし始めたという。


知人らによると、イエ子容疑者は最近、介護の方法に悩み、大竹さんのケアマネジャーに、毎日のように相談していた。近所の人に「最近眠れないが、薬を飲むとお母さんの面倒を見られなくなるから飲めない」ともらすなど、悩んでいる様子だったという。親を介護しているという近所の主婦(64)は「お互い、がんばろうねと話していたのに……」とショックを隠せない様子だった。


各市町村には社会福祉士や看護師、ケアマネジャーが高齢者を支える「地域包括支援センター」があり、県介護保険グループは「在宅介護の悩みは、早い段階でセンターに相談してほしい」と呼びかけている。要介護者を抱える家族団体で県代表世話人を務める大内忠雄さん(74)は「介護は過酷なもので、相談せずに一人で抱え込んでしまうと最悪の事態になる。地域ぐるみで相談しやすい態勢を構築すべきだ」と話していた。【松本惇、今井美津子】


毎日新聞
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