高齢者虐待474件 県内昨年度 加害者の4割は息子

2007年 10月 21日 (日) | Category : 千葉県の介護ニュース

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

二〇〇六年度に県内高齢者が家族や施設で受けた虐待件数が、県内で少なくとも四百七十四件に上ることが二十日までの県のまとめで分かった。加害者の約四割は息子。虐待が確認された後も「家族と離れたくない」という高齢者が多く、分離するケースは半数にも満たない。虐待は“氷山の一角”の可能性もあり、対応策として県は市町村と連携した相談体制の構築を目指している。


調査は高齢者虐待防止法が同年四月に実施されたことを受け、厚労省が実施。県内自治体と県が受け付けた通報や相談の件数をまとめた。


県高齢者福祉課によると、虐待の加害者は息子が最も多く42%。夫は17%で、娘16%、嫁12%、妻8%など、ほとんどが家族によるもの。高齢者施設職員による虐待も三件あった。


態様(複数回答)は、たたくなどの身体的虐待が三百十三件、暴言などの心理的虐待が百七十九件、介護の放棄が百十八件で、生活費を渡さないなどの経済的虐待も百十三件に上っている。


虐待に至った経緯について同課は「正確な数値は分からないが、介護疲れが大半。一部には家計が苦しくて追い詰められるケースも報告されている」としている。


虐待確認後の対応は、被害者のうち60%以上について家族と分離せず、家族に対して虐待をやめるよう要請し、同居を認めている。40%弱は分離させたが「家族と離れたくない被害高齢者が多い上、分離しても生活の場が確保できないことが多いため、加害者と切り離すのは難しい」(同課)という。


〇四年度に同課が実施した調査では、四百十七件の虐待が確認されている。同課は「今回の調査と単純に比較はできないが、高齢者虐待防止法の効果はまだ、目に見える状況にはない」として、市町村の担当職員らへの研修や相談体制の連携強化などを実施する方針。


厚労省のまとめでは、〇六年度の高齢者への虐待は一万二千五百七十五件。第三者の目にふれにくい家庭内で起きることが多いため、専門家からは「件数は氷山の一角」との指摘も出ている。


同法は、家族や施設の職員らから虐待を受けている高齢者を発見した場合は市町村に通報するよう規定。市町村に対しては自宅や入所施設への立ち入り調査や、虐待を受けた高齢者の一時保護などの対応を求めている。


千葉日報
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