八街・老人ホーム妻殺害 夫に3年6月の実刑 千葉地裁
わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。
2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。
わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。
人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。
そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。
介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。
今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。
八街市文違の老人ホームで寝たきりの妻を絞殺したとして殺人の罪に問われた入所者の無職、郷原敏夫被告(73)の判決公判が二十五日、千葉地裁であり、古田浩裁判長は懲役三年六月(求刑・懲役七年)の実刑を言い渡した。
弁護側は妻からの承諾があったとして嘱託殺人を主張していたが、古田裁判長は判決で否定。「郷原被告は周囲から介護ヘルパーに任せるよう忠告を受けながら、妻を楽にするためには殺害するしかないと思い込んだ。尊厳のある静かな最期を迎える機会を被害者から奪うことに対する反省、悔悟が深まっているとは言えない」と指摘した。
そのうえで「郷原被告は治療方法のない難病の妻を献身的に介護しており、肉体的、精神的疲労が重なってうつ状態にあった。殺害した経緯には同情の余地がある」とも述べた。
判決によると、郷原被告は昨年十二月十六日昼ごろ、難病で寝たきりの妻=当時(67)=と共に入所していた介護付き終身利用型有料老人ホームで、妻の首を電気蚊取り器のコードで絞め、窒息死させた。
郷原被告自身も充電器のコードで首つり自殺を図ったが、コードが切れて一命を取り留めた。
千葉日報』
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