要介護の母殺害、猶予刑 千葉地裁「社会内で更生が相当」

2006年 07月 11日 (火) | Category : 千葉県の介護ニュース

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

勝浦市の自宅で四月、同居する高齢の母親を殺害したとして殺人の罪に問われた無職、林田昭一被告(69)の判決公判が十日、千葉地裁であり、彦坂孝孔裁判長は懲役三年執行猶予五年(求刑・懲役五年)を言い渡した。


量刑理由で彦坂裁判長は「母親を自らの手で殺害した行為は厳しい非難を免れない」と指摘する一方で「手を尽くして認知症の母親の介護に当たる中、自分の病気や家族の将来を悲観し、抑うつ状態だったことが要因。専門家の支援を仰ぎながら社会内で更生を図ることが相当」と述べた。


判決によると、林田被告は四月一日夜、自宅で寝ていた母親=当時(95)=の首をロープで絞めて殺害した。


林田被告は当時、母親、妻との三人暮らし。自殺を計画したが「母の介護を妻一人に任せられない」「自分だけ先に死ぬのは不憫(ふびん)だ」などと考え、母親との心中を図り、犯行後に自分の手首をカッターナイフで切って倒れているところを妻に発見された。


千葉日報
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