認知症の家族ら全県組織結成へ

2007年 11月 27日 (火) | Category : 青森県の介護ニュース

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

高齢化に伴い認知症の人が増え続ける中、認知症高齢者を介護している家族や施設関係者らが、全県組織の結成に向け、準備を進めている。認知症の介護者は、家族の顔を忘れたり徘徊(はいかい)するなど認知症独特の行動や周囲の無理解により、精神的に追い込まれがちだ。こうした中、家族間で情報共有・交流を進め、支え合う狙いがある。来春にも組織を設立し、数年後には「認知症の人と家族の会」(本部・京都市)の県支部に移行していきたい考えだ。


「おいしいの、食べたい」。青森市の認知症高齢者グループホームで、昼食を食べたばかりの佐々木きよさん(86)が話すと、二女の秀子さん(57)が「もう少しで、おやつだよ」と語りかけた。


きよさんに認知症の症状が出始めたのは二〇〇四年。秀子さんが姉と二人で自宅で介護していたが、〇五年には夜間の徘徊が始まった。〇六年六月に家での介護を断念、グループホームに入所した。〇七年度、「認知症の人と家族の会」に入会したが、県支部がないため、秋田県支部の行事に参加している。


自営業の秀子さんは、店の定休日である火曜午後、グループホームで母との時間を過ごす。「四年間の在宅介護は、こんなに苦しいのかというくらい、毎日がつらかった。あの時代に、相談できる仲間が身近にいれば、もっと救われたはず」と振り返る。


介護を苦にした心中事件も相次ぎ、「苦悩している家族は多いはず。支え合うための一歩を踏み出せたら」と、弘前大学大学院の東海林幹夫教授を囲んだ勉強会に参加し、組織設立の呼び掛け人の一人となった。


二十六日、青森市内で開いた「設立準備のつどい」には、県内各地の認知症高齢者の家族や施設関係者ら十三人が参加。八戸市の認知症家族の会である「やさしい手の会」副会長の石戸育子さん(61)=八戸市=を代表世話人に選出した。


今後、青森、弘前、五所川原、むつ、八戸などに地区組織をつくり、定期的に会合を重ねていく考え。認知症の姑(しゅうとめ)を自宅で約二十年間介護した石戸さんは「認知症について社会の理解が深まっているとは言い難い。私たち家族が研さんを積んで意識を高め、社会に働き掛けていけるような動きをつくっていきたい」と話している。


今後、会員を募集するとともに、関係団体に参加・協力を呼び掛けていく。事務局は未定だが、入会などの問い合わせは当面、家族の会準備室(ファクス017-755-6602)で受け付ける。


東奥日報
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