県内の「介護予防事業」進まず

2007年 10月 30日 (火) | Category : 青森県の介護ニュース

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

将来的に介護が必要となる恐れのある「特定高齢者」向けに市町村が実施する介護予防事業が、県内でほとんど進んでいないことが県の調査で分かった。介護保険改正に伴い二〇〇六年度に創設された仕組みだが初年度、県内で特定高齢者に選ばれたのは高齢者人口の0.34%にとどまり、選定が思うように進んでいない状況。この中で介護予防事業への参加も18%と、いずれも全国平均を下回った。県は二十九日、医療・福祉などの関係者で構成する「県介護予防市町村支援委員会」を設置し、効果的な実施に向けた検討に乗り出した。


特定高齢者は、将来、要介護状態になる恐れのある“介護予備軍”とも言える高齢者で、基本チェックリストをふまえ市町村が選ぶ。


〇六年度、県内の六十五歳以上の高齢者三十三万七千二百三十人のうち、特定高齢者は千百四十三人。割合は高齢者の0.34%(全国は0.44%)だった。中でも、平川、西目屋、板柳、野辺地、田子の五市町村は0%だった。


要支援・要介護状態にならないようにするため特定高齢者には介護予防事業への参加が望まれるが、県内の参加者は二百六人。特定高齢者の18%で、全国の31.8%を大きく下回った。


利用者が通う「通所型」の介護予防事業の実施状況を市町村に聞いたところ、「運動器の機能向上」は十六カ所、「栄養改善」十一カ所、「口腔(こうくう)機能の向上」は四カ所。三つのプログラムすべて実施したのは青森、蓬田、階上の三市町村だけだった。


一方、元気な高齢者を含む「一般高齢者」向け介護予防事業については、県内では講演会が計二千九百回余り開かれ約二万三千人が参加。相談会は約千五百回に一万九千人余りが参加するなど、広がりが見られた。


東奥日報
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