毎日介護賞:「支局長賞」県内3団体が受賞/青森

2007年 10月 21日 (日) | Category : 青森県の介護ニュース

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

◇フォルツァ/弘前愛盲協会/ごしょがわら恵鈴会


地域における介護の現場で活動をしているNPO、社会福祉法人などの団体や個人を顕彰する「2007年毎日介護賞」(毎日新聞社主催、厚生労働省、日本医師会など後援、アフラック協賛)で、県内からは▽NPO法人「フォルツァ」(八戸市)▽社団法人「弘前愛盲協会」(弘前市)▽NPO法人「ごしょがわら恵鈴会」(五所川原市)--の3団体が「毎日新聞青森支局長賞」を受賞した。喜びの声を聞くとともに、活動内容などを紹介する。【長沢晴美、太田圭介、安部文晴】


◇高齢者「筋トレ」を導入--フォルツァ


フォルツァの浪打康生副理事長(60)は「『少子高齢化』という社会的なテーマに、時代に先駆けて取り組んできたことが認められた」と受賞の喜びを語った。


フォルツァは02年設立。「筋トレ個別運動プログラム『健やか』」を開発し、06年度から導入された介護予防の中核となる高齢者の筋力トレーニングに早くから取り組んできた。05年から三戸町、今年からは八戸市の委託を受ける。浪打さんは「介護予防は高齢者の尊厳ある自立を促し、社会の負担を減らす。少子高齢社会を乗り切る切り札」と力を込める。


岩盤浴と温泉設備を備えたスタジオは、筋力トレーニングに励む中高年でいつもにぎわっている。体力テストと健康診断を基に作成した1時間程度の個人メニューを、週1、2回、3カ月間繰り返す。参加した女性(49)は「将来寝たきりにならないための準備です」と話していた。


◇視覚障害者の支柱に--弘前愛盲協会


弘前愛盲協会の笹沼武理事長(76)は「これまでの地道な活動が評価されて光栄だ」などと笑顔で語った。


会は54年、点字印刷機の開発に尽力した故・小野吾郎さんの呼びかけで設立された。現在、約50人のボランティアが書物の点字翻訳や読み聞かせ、視覚障害者への介助などに従事する。ハンセン病療養施設の松丘保養園(青森市石江平山)に対する慰問活動の歴史も半世紀以上に及ぶ。


笹沼さんは「協会は、点字教育機関にとどまらず、中途失明者に対する精神的支柱としても重要な役割がある」と胸を張る。一方「会員の高齢化で近年、資金面で苦しさを増している。多くの方々に活動への支援をお願いしたい」と呼びかけた。


◇「食」重視の地域ケア--ごしょがわら恵鈴会


「受賞は本当にうれしい」。そう話すのは「ごしょがわら恵鈴会」の芦田ふみゑ理事長(68)。「市民参画のケアシステム」をスローガンに会が発足したのは00年12月。「高齢者の介護や子育てなどは地域住民の手で」と地域の高齢者、障害者に対する家事や介護、そして食事援助などの支援を行ってきた。


会が特に重視するのは「食」。管理栄養士でもある芦田さんは「高価な食材を使うのではなく、郷土の味」を常に意識し、会のメンバーらは定期的に郷土料理の勉強会を開いている。


どこの家庭にもある食材を使えば、要介護の高齢者に経済的な負担を軽減させることにもつながる。


「お年寄りに限らず地域の人たちが集まり、食事などを楽しめる『憩いの場』を作りたい」。目を輝かしながら語る芦田さんの願いは、まもなく実現する。


毎日新聞
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