コムスン問題、県内にも波紋

2007年 06月 09日 (土) | Category : 青森県の介護ニュース

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

訪問介護最大手コムスン(東京)が厚生労働省から事業所指定の打ち切り処分を受けた問題が、県内にも波紋を広げている。「行き場がなくなるのでは」「先が見えない。今後、どうすればいいの」―。サービスを利用する延べ五百八十一人の高齢者・障害児とその家族は不安を強め、少ない情報にいら立ちを募らせている。


県内のコムスン事業所は、介護保険関係が青森、八戸、十和田の三市に計八カ所、障害児関係は青森市に一カ所の計九カ所。取材に訪れると、職員は笑顔で応じつつも「すみません、何も言えないんです」「本社が一括して対応します」と、直接の取材を拒否した。計百六人いる職員は動揺を押し殺しながら日々を過ごしている。


訪問介護が来年三月末で打ち切られる見込みの青森ケアセンター(青森市)の利用者の家族は「職員を信頼していたので残念。サービスが中断されれば私たちの生活が変わってしまう」と心配そうに話し、別の家族は「職員が電話をくれたが動揺している様子だった。かわいそう」と逆に職員の今後を気遣った。


八戸市のコムスン事業所は五カ所あり、利用者は延べ約三百人。市全体の介護保険利用者の約3%に当たる。同市是川の八戸南ケアセンターでは、入り口に鍵を掛け、ついたてで中が見えない状態だった。八戸市介護保険課は「利用者への影響を最小限にし、心配を減らすため真摯(しんし)に説明するよう事業所に指導した。指定・監査は県の業務だが、事態の推移を見ながら、保険者としてできることをやっていく」と話している。


東奥日報
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