介護保険、14市町村が借り入れ
わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。
2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。
わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。
人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。
そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。
介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。
今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。
二〇〇五年度に介護保険財政が不足し、県の財政安定化基金から借り入れた自治体は十四市町村に上ることが、県高齢福祉保険課のまとめで分かった。当初の見込みを上回るサービス利用があったためで、借入総額は約八億八百万円に上る。また、四十歳以上の被保険者と国、県、市町村が拠出する県全体の介護給付費は高齢化の進行で増え続け、〇六年度は約九百三十八億円に膨らむ見込み。自治体財政をさらに圧迫しそうだ。
〇五年度に基金から借り入れたのは四十市町村中、十四市町村(35%)。〇三年度は介護保険制度第一期(〇〇-〇二年度)の結果を踏まえて保険料を改定したため、借り入れた自治体、額は一度減った。だが〇四年度はともに増加し、このうち本県の〇四年度の借入市町村比率は41.7%と全国三番目の高さだった。
〇五年度の借入額は、弘前市が二億五千六百万円と最も多く、八戸市が二億二千五百万円と続いた。両市とも、通所介護や認知症高齢者グループホームの利用が予想を上回った。弘前市は「グループホームや短期入所施設の新設の自粛を一層求めていく」、八戸市は「グループホームの新設を認めず、(四月の制度改正で新設される)小規模多機能型居宅介護を導入する」と話している。
一方、サービス利用量の増加により、県内全体の介護給付費は年々増加。制度が始まった二〇〇〇年度は約五百十九億円だったが、〇六年度は約九百三十八億円と一・八倍に上る見込みだ。
<財政安定化基金>
県が設置主体となり、財政不足となった市町村に資金を貸し付ける。国、県、市町村が3分の1ずつ負担した拠出金が財源。市町村は借りた次の介護保険運営期間で償還する。
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