介護予防拠点「地域包括支援センター」の新年度設置は16市町村のみ
わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。
2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。
わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。
人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。
そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。
介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。
今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。
介護保険制度見直しに伴い二〇〇六年度から創設される新介護予防システムの中核拠点「地域包括支援センター」の設置をめぐり、県内の市町村が頭を悩ませている。配置する専門職の確保や、経費など財政面の見極めが難しいためだ。県などが市町村に実施したアンケート調査では、八月一日時点で〇六年度設置を決めているのは十六市町村だけで、新介護予防の実施は市町村による格差が広がりそうだ。
センターは生活圏域に一カ所の設置とされており、市町村は(1)生活圏域の範囲(2)設置数(3)運営方式(直営か委託)-を決める一方、配置する保健師、主任介護支援専門員、社会福祉士の三つの専門職の人材確保を進める必要がある。
「〇六年度スタートに向け昨年から協議を重ねてきた。九、十月にも市の考えを関係者に示し意見を聞く方向」(八戸市)など、順調に進めている市町村もある。
だが、センターを〇七年度設置予定の県南の町は「合併により職員が余剰気味で、新たな専門職の配置は難しい」と嘆く。新採用を控えている市町村にとって、専門職の確保は頭の痛い問題だ。 また、介護報酬単価など詳細を国が示すのは年明けとされており、津軽地方のある市は「財政が厳しい中、運営経費が精査できないままでは、予算要求できない。早く設置したいが身動きが取れない」と語り、〇六年度設置は見送る方向だ。
県と県在宅介護支援センター協議会が、地域包括支援センターについて八月一日現在で県内四十七市町村に行った調査では、有効回答三十九市町村中、設置時期は「〇六年度」が十六市町村、「検討中」十一市町村、「〇七年度以降」「未検討」が各六町村だった。 項目別の検討状況をみると、「生活圏域」を決めたのは六市町、「設置数」を決めたのが六町、「運営方式」を決めたのは二町のみ。「人材」を決定済みの市町村はゼロだった。
センター設置が遅れると介護予防を受ける時期が遅れ、介護保険財政赤字が膨らむ。本県では〇四年度末現在の介護保険財政が赤字の市町村が二十カ所と全国最多だけに、県高齢福祉保険課は「住民が円滑にサービスを利用できるよう、態勢をしっかり整え、早めに取り組んでほしい」と話している。
<地域包括支援センター>
(1)介護保険以外のサービスを含む高齢者や家族への総合的な相談・支援(2)「新予防給付」や「地域支援事業」の介護予防ケアマネジメント(3)虐待防止・早期発見等の権利擁護事業(4)支援困難ケースへの対応など地域のケアマネジャーへの支援-などを行う。市町村が日常生活圏域に1カ所ずつ設置する。市町村が直営するが、委託も可能。公正中立に運営するため、市町村ごとに運営協議会をつくり、中立性確保などをチェックする。
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