10月に施設職員らが介護をテーマに演劇
わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。
2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。
わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。
人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。
そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。
介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。
今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。
本当の介護って何-。むつ市の特別養護老人ホーム「みちのく荘(中山辰巳園長)と同市の劇団未来半島(仁木宏代表)は、痴ほうのお年寄りの介護をテーマにした福祉演劇「あいしていますよ~月下老人心闇重座布団譚(げっかのろうじんこころのやみかさねざぶとんたん)」を十月十二、十三の両日、同市の下北文化会館で公演する。三月から同荘でけいこに入っており、介護の在り方を考え、介護の実情を少しでも理解する契機になってほしいと、出演者ら一同は張り切っている。
今回の演劇公演は、二〇〇〇年に日本生命財団から受けた助成金を活用している。
物語の主な舞台はデイ・サービスセンター。元教師で重い痴ほうを患った高齢者と、献身的に介護してきた息子の嫁を軸に、家族や隣人、同センターの職員など大勢の人間が登場する喜劇タッチの作品で、上演時間は約二時間を予定している。
このほどみちのく荘で行われた制作発表には、出演する同荘職員や劇団未来半島団員、一般市民ら約三十人が勢ぞろいし、出演に当たっての抱負をそれぞれ披露した。福祉演劇の演出は初めてという同劇団代表の仁木さんは「全国的にもなかなか珍しい企画だと思う。とかく重くなりがちなテーマだが、あえて喜劇調にした。われわれ自身もつくりながらさまざまなことを考えていきたい」と話している。
現在、大道具制作や会場案内などに当たるボランティアを募集中。問い合わせは、みちのく荘(電話0175-23-1600)まで。
東奥日報』
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