ホーム入所者の要介護判定遅れピリピリ

2000年 04月 28日 (金) | Category : 青森県の介護ニュース

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

介護保険制度がスタートして間もなく一カ月が経過するが、むつ下北地方では介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の入所者に対する要介護認定の結果通知が遅れ、五月から始まる介護給付費の請求事務作業への影響が心配されている。県国民健康保険団体連合会(県国保連)へのデータ伝送に使用するパソコンソフトの開発も遅れ、システム構築が始まったばかりの施設が大半。職員に習熟させるため大型連休返上で準備を進めるところもあり、請求を前にピリピリしたムードが漂っている。


「施設入所者の認定結果は二十日までに出すといっていたが、まだ十数人分が届いていない」と、ある施設長はぼやく。要介護度が確定しないため、暫定的なケアプランで急場をしのいでいるが、心配は介護給付費の請求が五月十日の締め切りに間に合わない場合。「最悪は六月の請求になる。そうなると、実際に支払われるのは七月になる」と懸念する。


九人分がまだ届いていない、という郡部の施設では「行政側とも相談して要介護度が確定するまでは入所者から費用を徴収しないことにした。それまで資金を回すのが大変だが仕方がない」と覚悟を決め込んでいる。


むつ下北地方では、昨年十月に要介護認定がスタートして以来、「在宅」を優先し「施設」は二月からの審査としていた。当初は三月半ばに審査を終えられるものと予想していたが、申請数の増加などによって見込みが狂い、今月二十日へと軌道修正。しかし、それもさらにずれ込んでいる。


「一つの合議体で三十件だった審査件数を先週まで五十件に増やして対応してきた。委員にはオーバーワークを強いたが、二十七日には完了できそうだ」(介護認定審査会担当者)とはいえ、自治体を介して判定結果が各施設に届くにはさらに時間を要するため五月にずれ込む可能性もある。


施設側が神経をとがらせるもう一つの理由が、県国保連への介護給付費請求に使うソフト開発の遅れ。介護保険制度自体が土壇場まで揺れた影響はソフト開発にも及んでおり、今週に入ってようやく、システム構築に着手した施設が多いのが実情だ。


東奥日報
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