成年後見法学会設立へ 問題研究し、利用促進を

2003年 10月 31日 (金) | Category : 成年後見制度

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

痴ほう性高齢者や知的障害者など判断能力が不十分な人を保護し、支援する成年後見制度の改善を目指す法律、医療、福祉などの専門家が連携して11月2日、「日本成年後見法学会」を設立する。


同制度は2000年4月、高齢社会を支える車の両輪として介護保険と同時に施行された。しかし、介護保険の利用者が約280万人に上るのに対し、成年後見制度は約2万5000人にとどまっているという。学会設立は問題点を研究し、利用促進を図るのが狙い。


設立に先立って実施した医師の調査で、8割が医療行為に対する同意を患者本人から得るのに困った経験があることが分かった。意思が明確でないため、インフルエンザの予防接種に対する助成が受けられなかった例も報告されているという。


設立発起人代表の新井誠筑波大大学院教授は「本人に代わって後見人が医療行為に同意することは認められておらず、身寄りのない高齢者は適切な医療を受けられないこともあり得るのが実情。実践の場にいる人から問題提起してもらい、あるべき姿を考えていきたい」と強調した。連絡先は同学会設立準備委員会事務局、電話03(5351)1571。


共同通信
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