だれに相談

2007年 02月 28日 (水) | Category : 介護用品

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

比べて触れて 尋ねてみよう


次々と新製品が生まれる福祉用具の中から、利用者に合ったものを選ぶのは難しい。ケアマネジャーに相談するとともに、気兼ねなく見学でき、専門家がアドバイスしてくれる展示コーナーも活用したい。(内田健司)


547品目


「おとセン」の愛称で親しまれている東京都板橋区のおとしより保健福祉センターでは、入り口を入ると、福祉用具の展示コーナーが目に飛び込んでくる。約100平方メートルに547品目がところ狭しと並び、声をかければ専門職が気軽に相談に応じてくれる。


保健と医療、福祉の総合的な支援拠点として、1991年にセンターが開設され、目玉の一つとして福祉用具の展示が始まった。デイサービスで訪れる高齢者や、併設されている区の介護実習施設に来る区内外のケアマネジャーらが立ち寄り、展示品を見比べたりしている。


同区宮本町の自宅で父親(84)を1人で介護している杉谷八紘さん(64)は、介護に役立つものがないかと立ち寄り、展示してあった立ち上がり補助具を見つけた。父親の足腰が弱くならないようにと、ケアマネジャーを通じて貸与を申請。昨年7月から、ベッドから降りるときやこたつで食事を終えて立ち上がる際に使っているという。


誰のために


理学療法士でもある粟津原昇・同センター介護普及係長は、「昨年度はケアマネジャー向けに福祉用具の講習を行うなど、情報提供にも努めている。利用者の方には、家族にとって楽になるのか、本人の残存能力の活用になるのかなどを考えながら選ぶようにアドバイスしている」と話す。


同区では、65歳以上の在宅要介護高齢者らに、シルバーカー(歩行補助車)の購入費として最高2万円まで独自で補助する仕組みがある。センターには、約20機種が展示してあり、これを目当てに来場する人も含め、2005年度は約3500人が訪れた。


展示品は選定委員会を経て、原則1年ごとに一部入れ替えを行っており、07年度は、利用者の状態別に必要な福祉用具が選びやすいような展示方法を工夫していくという。


ケアマネ情報


福祉用具の活用に期待は膨らんでいるが、介護保険を利用した貸与や購入は、厳しくチェックされる流れにある。06年4月以降、ケアプランに福祉用具が必要な理由を明記するほか、少なくとも6か月に1回は必要性を検討し、継続利用が必要な理由を記載することが義務づけられた。


とはいえ、福祉用具は次々と生まれ、常に最新の商品情報を収集、理解するのは容易ではない。厚生労働省が所管する財団法人テクノエイド協会のホームページで公開している「福祉用具情報システム」を利用したり、カタログで比較したりすることはできるが、介護保険利用者にとって、ケアマネ情報の比重は大きい。


ケアマネとしても活動する服部万里子・城西国際大教授は「軽度者のベッド利用が昨年制限された際、自治体ごとに異なる対策を把握できず、利用者の問い合わせに即答できないこともあった。情報共有システムが必要だ。要介護度にかかわらず、利用者の個別性を踏まえた対応が不可欠だ」と話している。


読売新聞
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