トイレ用品

2007年 02月 27日 (火) | Category : 介護用品

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

処理機、オムツに選択肢


トイレの問題は、本人の不快感や気兼ね、介護者の負担など様々な要素があり、福祉用具が果たす役割は大きい。だが、使い方を誤ると状態を悪化させ、寝たきりにつながる場合もある。(安田武晴)


気兼ねなく


「用を足した後、お湯で洗い流してくれるので、とても快適」。千葉県鴨川市の本吉昌子さん(54)は、眼球の動きを感知し、画面上に文字化する機械を使って話した。


筋委縮性側索硬化症のため寝たきりで、昨年12月から夜間、排せつ処理機「マインレット夢」をモニターで使っている。密封されたカップ内に排せつすると、センサーが感知し、便や尿を自動吸引。温水で肌を洗い、温風乾燥してくれる。


医療・介護機器製造・販売の「エヌウィック」(仙台市、斎藤徳雄社長)が開発し、昨年12月に発売した。定価は59万8000円(税込み)。介護保険の用具購入費補助の対象ではないが、100台以上が売れた。


本吉さんは、「夜中、家族を起こさないで済むのも助かる」と文字を走らせる。


負担を軽減


老老介護の現場でも、介護者の負担が軽くなるとして歓迎されているようだ。


母親(97)と義姉(86)を介護する松浦一雄さん(67)(東京都板橋区)は、「義姉に使っているが、オムツ交換の回数が減り、部屋の中のにおいも気にならなくなった」と喜ぶ。


「寝たきりにつながる」と疑問視する福祉関係者も多いが、同社は、トイレで用を足せる人には薦めないよう、販売代理店に要請。利用者にも、夜間など限定的な使用を呼びかける。


「正しく使えば、本人も快適で、家族も休めるので、介護の質が向上する」と、北林光也・同社営業本部長は強調する。


理解不足


約300種類のオムツが展示されている「むつき庵」、京都市の民間施設「排泄(はいせつ)用具の情報館 むつき庵」は、2004年9月から、オムツを中心に排せつ用具の正しい使い方を習得した「オムツフィッター」を育成している。


オムツと言っても、パンツのようにはくタイプ、テープで留めるタイプ、これらと併用する尿とりパッドなど多種多様。形の違いなどを考慮すると数千種類に上ると言われ、それだけに使い方が難しい。


むつき庵の浜田きよ子代表は「よくわかっていない看護師や介護の専門職も多い」と指摘。テープ留めタイプの紙オムツの中に、尿とりパッドを背中まで10枚くらい重ねて使う病院もあるという。「これでは姿勢や座位を保てない。寝返りもしづらく、床ずれにもつながる」と心配する。


2泊3日の研修で取得できるオムツフィッター3級が435人、研修と論文が課される同2級が60人、これまでに誕生した。看護師や介護職員、オムツメーカー社員などで、各職場で知識を生かしている。


一長一短


排せつ関係の民間研究団体「日本コンチネンス協会」首都圏支部によると、国内では、3000~4000種もの排せつ関連用品が流通している。


肛門(こうもん)に栓をして便の漏れを防ぐ用具など、健康な人が見ると驚くようなものもある。だがこの商品も、意思に反して便が出てしまう人にとっては、外出がしやすくなるなど、行動範囲を広げることに役立つ。


同支部の青木久美子支部長は、「どの用具も一長一短がある。介護する側のニーズだけでなく、介護を受ける人の希望や、主体的に動けるかどうかを考えて選んでほしい」と助言する。


読売新聞
現在位置 : Home » 介護用品 / 2007年02月 > 記事詳細
タグ: