日本療養病床協会:「介護型」全廃は不可能

2008年 06月 19日 (木) | Category : 介護施設

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

日本療養病床協会は18日、高齢者向けの長期入院施設、療養病床を備える医療施設の入院患者の実態調査をまとめた。介護保険が適用され、既に11年度中の全廃が決まっている介護型療養病床(287施設が回答、入院患者数2万3174人)でみると、患者の35.7%が管での流動食の提供が必要など、一定水準以上の医療が不可欠な患者が少なくないという。


調査によると、介護型療養病床の患者の要介護度(1~5)は平均で4.3と重く、20.9%はたんの吸引が、4%は酸素療法が必要だ。


政府は11年度末までに12万床ある介護型療養病床を全廃し、医師などの配置基準が緩やかな新設の「介護療養型老人保健施設」に転換させる方針だが、同協会は「患者の状態を勘案すると、このまま転換することは不可能だ」と指摘した。【吉田啓志】


毎日新聞
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