削減計画は地域実情を配慮 療養病床、患者らの不安で

2007年 04月 12日 (木) | Category : 介護施設

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

慢性期の高齢患者が長期入院する療養病床の削減について、厚生労働省は12日、削減計画を作る都道府県に地域実情への配慮を認める方針を固めた。全国に38万床ある病床を全体で23万床削減するとの目標は変えないものの、患者やその家族らから不安の声が上がっていることから、秋にまとまる計画では目標に届かない可能性が高い。


事実上、目標の下方修正となるが、背景には今後5年間で75歳以上の高齢者が20%増える見通しとなったことや、退院患者の受け入れ先に想定している、老人保健施設など介護施設への転換を希望する医療機関が少ないこともあるとみられる。


療養病床の削減は、昨年の医療制度改革の中で医療費抑制策の柱。介護施設などへの転換で、2011年度末までに15万床に削減するとしているが、目標があいまいなままだと医療費抑制策の見直しを迫られる可能性もある。


共同通信
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